河合雅司・産経新聞論説委員

 人口減少が本格化してきた。総務省が発表した2011(平成23)年10月1日時点の総人口は、前年比25万9千人減った。過去最大の落ち込みだ。深刻なのは、労働力人口が激減していくことだ。政府の推計によると、最悪シナリオでは2030年までに1000万人近くも減り、2050年には現在の3分の2になる。経済への打撃はとても避けられないだろう。

 対応策として必ず話題に上るのが外国人労働者の大量受け入れだ。「世界から優秀な人材を集め、国際競争力を高める必要がある」との意見も強いが、「大量」となると課題が多い。

進む「日本離れ」

 まず、「大量」とはどれぐらいの人数なのかだ。労働力人口の減少分を穴埋めするとなれば、今後20年だけで毎年50万人必要となる。だが、アジア諸国の発展も著しく、就職先はいまや日本だけではない。2010年の国勢調査によると、外国人は5年前に比べ約9万2500人増えただけだ。「毎年50万人」というのは厳しい数だ。

 むしろ逆に、外国人の「日本離れ」が始まっている。総務省の推計では過去最大の5万1千人の流出だ。東日本大震災などが影響しているとみられるが、3年連続の減少でもある。
 どう受け入れるのかも問題だ。これまでの外国人受け入れ論では、賃金抑制策としての期待が大きかった。企業が求めるのは低賃金で単純労働をしてくれる20~30代の若い世代であり、「高齢になる前に母国に帰ってもらえばいい」といった考え方だった。

 しかし、このような発想で若い外国人労働者を次々に入れ替えていたのでは、労働力人口の激減を食い止めるという量的問題は解決しない。反対に、特定の年齢層が日本に残れば、日本の人口構成はさらにいびつになる。

 大量受け入れが成功したとしても、日本社会にうまく溶け込めるだろうか。これまでも文化や生活様式の違いから軋轢(あつれき)を生んだ例も少なくなかったが、大量受け入れとなれば出身国ごとにコミュニティーを形成する動きはさらに加速するだろう。
 一方で、日本人は減るわけだから、日本人のほうが少数派になる地区も出てくる。外国人労働者の占める割合が増えれば、「日本らしさ」も損なわれよう。日本は、これまでとは全く別の国となるかもしれない。

 一度大量受け入れを始めてしまうと、途中でやめることも困難だ。日本人が激減するのに、外国人まで減るというダブルパンチになるからだ。市場が急激に縮小し、社会が混乱する。こうしてみてくると、外国人労働者の大量受け入れが、政策として成り立つのか実に怪しい。

産業構造転換を

 では、労働力人口激減にどう対応するのか。まずは、高齢者や女性など働く意欲のある人が働ける環境を整えることだ。さらに、産業構造の転換を急がなくてはならない。外国人労働者受け入れ論の延長線上にある、低コストで価格競争に勝つという「旧来型のビジネスモデル」からの脱却だ。

 発展途上国の追随を許さないぐらいに独自性を高め、収益率を向上させる「日本型モデル」の確立である。経済規模の縮小は避けられないかもしれないが、賃金上昇で国民の生活水準を維持させることは可能なはずだ。日本の生き残りの道はこうしたところにある。