韓国メディアは、今年2月にソウルで開催されたフィギュアスケートの「四大陸選手権大会」で、2014年ソチ五輪でキム・ヨナが銀メダルに終わった「採点」に対する抗議行動が行われたと一斉に報じていた。観客が「ソチは終わっていない」などと英語で書かれた横断幕を掲げた。韓国スケート連盟は国際スケート連盟(ISU)への提訴を断念し、「キム・ヨナ採点」問題は幕引きされたはず。1年が経過し、韓国特有といわれる「恨文化」の一端が垣間見られた。

 韓国・聯合ニュースによると、抗議行動は2月13日、女子ショートプログラム(SP)の整氷時間に行われた。「キム・ヨナの一部のファン」(韓国メディア)は英語で書かれた「我々は絶対に忘れない」「ソチは終わっていない」「ISUは改革が必要だ」「2017年までにスポーツ仲裁裁判所(CAS)に抗議するぞ」などの横断幕を一斉に広げた。
1年前のソチ五輪の「キム・ヨナ採点」に対して抗議する
横断幕を掲げる観客=2月13日、ソウル(共同)
 ソチ五輪のSPで1位だったキム・ヨナはフリーで、SP2位だった開催国ロシアのアデリナ・ソトニコワに逆転され、五輪連覇を阻まれて銀メダルに終わった。その際、採点を疑問視する声が韓国内に上がり、韓国連盟はISUに異議を申し立てた。ただし「採点」に関するものではなく、審判員の「構成」に疑義を提示するものだった。ISUに棄却され、韓国連盟はCASへの控訴も断念した経緯がある。

 韓国メディア・OSENによると、四大陸選手権では観客のプラカード持ち込みが禁止されていたという。大会組織委員会関係者は「発見した場合は強制回収する」としていた。

 ところが、別の韓国メディアによると、韓国スケート連盟の関係者は横断幕について「ISUの規定上、問題になることはない。選手が競技をするときに横断幕を下ろし、整氷時やウオーミングアップの時間にのみプラカードを掲げているため、競技の妨害になる行為ではない」と述べた。主張が真反対だ。どちらが真実なのかは不明だが、日本人が韓国選手に対して同様の行為を行ったとしたら、このような寛容な態度を取るだろうか。

 今回の横断幕提示には「恨」という国民文化が強くうかがえる。昨年2月に米誌ニューズ・ウィークにこのような考察が掲載されていた。「恨を引き起こす大きな要因の一つは、大国から不当な扱いを受けた歴史にある。韓国人が厳しい歴史を経験する中で育まれてきた哀しい感情だ」

 たとえば、2013年3月1日、韓国の朴槿恵大統領は独立運動を記念する政府式典の演説で、加害者と被害者の立場は「千年の歴史が流れても変わらない」と強調していた。

 さらに、ソトニコワが昨年7月19日から23日にかけて長野で開催されたアイスショーに出演した際、ジャンプで尻もちをついたり、回転不足や着地で乱れるなど大きなミスを連発。これに韓国メディアは「ソトニコワ 日本のアイスショーでジャンプをすべて“失敗” これが金メダリスト?」(ヘラルド経済)、「ソトニコワ フィギュア金メダリストで合ってる?」(スポーツ京郷)、「ソトニコワ アイスショー、見るに哀れなほど? 金メダリストの大屈辱!『あんまりだね!』」(MTN)などといった見出しの記事と転倒写真を掲載し、批判した。

 韓国のスケートファンからは、今回の集団行動に対して「キム・ヨナを心配するファンによる抗議だが、こんなことをしても仕方がない。韓国のスケート協会は動かないから、ファンたちはプラカードで意思を示すことしかできないのだ」といった声が漏れた。韓国メディアの中には「ソチ五輪から1年が経つが、女子フィギュアの不公平はいまだに忘れることができない」との指摘もある。

 日本のネットユーザーは「規定上問題にならないからやっていいって話じゃないと思う」「何より『いつまでやってんだ』という気がしてうっとうしい」「選手が抗議するならまだ分からんでもないけど、ファンがこんな抗議って逆効果にしかならないと思うけどね」「キム・ヨナの件はしつこいと思いますが、どうしてもまだ抗議を続けたいのならIOC(国際オリンピック委員会)に直接するべきでしょ」などの意見が多くみられた。