上念司(経済評論家)






朝日は不動産屋!?


 朝日新聞に対する批判が止まらない。「従軍慰安婦」「吉田調書」と、立て続けに朝日新聞の捏造報道の実態が明らかになった。長年、朝日新聞を購読していた人が失望している。朝日新聞が反省して出直すことはあり得ない。朝日の反省は廃刊である。それは、日本を貶め続けたエセ報道機関が当然、受けるべき報いだ。

 一連の捏造報道に失望した人は朝日新聞を解約するだろう。解約数が増えれば、いつか朝日新聞は廃刊せざるを得なくなる。しかし、それが実際にいつになるかは分からない。たしかに解約数が増えているという報道はあるが、年間売上高4700億円、総資産5760億円の巨大企業、朝日新聞グループにどれほどのインパクトを与えたのかは不明だ。

 さらに、この巨大企業は「すでに新聞出版事業ではなく、不動産賃貸事業が収益の主軸になっている」という。仮に購読者数がゼロになったとしても、賃貸事業の利益を新聞発行につぎ込んで新聞発行を続けることができる。

これは本当だろうか?



   朝日新聞が過去にないほど追い詰められているとはいえ、それはあくまで言論空間における「空気」のレベルの話だ。その空気が経営にダメージを与え、物理的に新聞発行そのものができなくなる状態に近づけていかなければ、真の勝利とは言えない。台湾航空戦の戦果を過大評価したために、沖縄の悲劇を招いたことを忘れてはいけない。

 朝日新聞への攻撃が経営上、どの程度のダメージを与えているか、より正確に把握することは、朝日新聞を廃刊に追い込むためにぜひとも必要なことだ。

 本稿では、過去10期分の有価証券報告書をベースに、朝日新聞のビジネスモデルについてより正確に把握し、今後の「掃討戦」に向けた作戦の方向性について検討する。

驚きの「稼ぐ力」


 まずは、「朝日新聞はすでに不動産屋になっている」という巷の噂が本当かどうか検証してみよう。有価証券報告書によれば、朝日新聞グループにおける事業の主要なセグメントは「新聞出版」「賃貸」「その他」の三つとなっている。各セグメントの売上と利益の金額は図表1のとおりである。
<図表1>
  2014年3月決算を金額ベースで見ると、賃貸事業の売上は本業の20分の1弱しかないにもかかわらず、利益では本業の約四割も稼いでいる。利益率は本業が1・5%であるのに対して、賃貸事業はほぼその10倍の14・6%となっている。

 さらに驚きなのは、一人当たりの「稼ぐ力」だ。本業は正社員、臨時社員合計で7373人もの職員がいるが、賃貸事業は正社員127人、臨時社員1人しかいない。社員一人あたりの利益金額は本業が89万2988円、賃貸事業は2114万625円である。実に23・6倍もの大差がついている。賃貸事業がきわめて効率よく金を稼いでいることから、たしかに朝日新聞グループにとってこれはオイシイ商売であることは間違いないようだ。

 とはいえ、不動産事業の売上は先述のとおり、グループ全体の20分の1でしかない。この程度の売上では、新聞を作るために必要な7373人もの社員を全員養うことは難しい。たしかに賃貸事業は利益率も高く、有望な事業ではあるが、現時点では本業に比べてまだまだその規模は桁違いに小さいといわざるを得ない。朝日新聞は毎年、部数を“順調に”減らしていて、新聞事業はかつてほど調子が良くないようだが、だからといってまだ完全に不動産賃貸専業になったわけではないのだ。

 賃貸事業が好調であるという点では、巷の噂はウソではない。しかし、賃貸事業さえやっていれば新聞を止めても大丈夫というのはさすがに言い過ぎのようだ。