高橋亮平(中央大学特任准教授、NPO法人Rights代表理事)

政務活動費に加え“第3報酬”まで


 地方議員の報酬年額の総額は1,614億円、期末手当は607億円、第2報酬としてこの間問題が明るみに出た政務活動費は291億円、さらに第3報酬とも言える費用弁償が178億円と総額は2,690億円にも昇る。

 ここで計上したのは、議員に直接渡る金額だけで、この他にも各自治体の議会費として計上されている額を全て合わせれば、さらに膨大な金額になる。

 それぞれの額を一人当たりにすると、都道府県議では、報酬が953万円、期末手当が416万円、政務活動費が442万円、費用弁償は215万円と、一人当たり額の計は2,026万円。

 市議区議では、報酬が513万円、期末手当が191万円、政務活動費が82万円、費用弁償は48万円と、一人当たり額の計は833万円。

 町村議ですら、報酬が261万円、期末手当が88万円、政務活動費が2万5千円、費用弁償は18万円と、一人当たり額の計は370万円にもなる。

 こうした仕事が、兼業できると聞いて、皆さんはどう思うだろうか。

年間100日足らずの「勤務」


 次に、地方議員が議会活動を行う日数だ。

 国会議員に国会での本会議や委員会などでの活動がある様に、地方議会にも本会議や委員会での活動がある。

 通常国会が1月から6月まで行われ続け、さらに秋から冬にかけて臨時国会を行っている国会は、実質、年がら年中議会活動を行っている様な感じだが、これに対し、地方議会は、3月、6月、9月、12月と年4回定例会が行われる形のところが多い。

 地方議員が実際にこうした形で議会に拘束される日数は、全国812市の平均本会議日数は21.4日、平均会期日数でも年間84.8日しかない。

 会期日数や本会議日数は所属議員の数の問題もあるのか自治体規模が大きくなるほど長くなる傾向がある様で、人口5万人未満の自治体では平均会期日数は75.7日、平均本会議日数19.2日と少なく、政令指定都市になると平均会期日数112.5日、平均本会議日数25.7平均になる。

 都道府県議の平均会期日数は約98日、町村議会に至っては約44日しかないのだ。

 実際に議員になると、議会での仕事以外にも様々な公務もあり、単純にこの日数だけしか働かないという事ではない。しかし一方で、多くの議員が「仕事が忙しい」と言っているものの中には、自身の選挙に向けたための活動や政治活動を指している事も多く、どの部分が議員としての仕事なのかという線引きは難しいが、こうした部分についても有権者は、シッカリと見定めていく必要がある。

最後までメスを入れなければもう変わらない


 全国には、議員や首長など、こうした地方政治家が2014年12月現在で32,825人いる。こうした地方政治家の内、約半数にあたる15,841人が、2011年4月に行われた前回の統一地方選挙で選ばれた。

東京都議会の議場
 前回の2011年統一地方選挙では、44道府県議会議員選挙が行われたほか、13知事選挙など、1,042選挙が実施された。

 今月にはまた、この4年に1度の統一地方選挙でこの地方政治家を一斉に選ぶ事になる。

 後述する様に地方議会の場合、当選した後に有権者がリコールするという方法も論理的にはあるが、実際には、選挙が終われば、有権者の声を聞いて地方議会が自ら改革を進めるという可能性は極めて低いのが現実ではないかと思う。

 振り返ると2014年はこれまでで最も地方議会に関心が高まった1年だったとも言えるのではないだろうか。

 言うまでもなく、こうした注目の象徴は、兵庫県議会議員による政務活動費の不正利用疑惑だ。これ以外にも、東京都議会のヤジ問題など地方議会での不祥事は続いた。

 中でも政務活動費の問題は、その後も様々な自治体で問題となり、私が以前市議を務めていた市川市議会では、兵庫県議会同様に、政務活動費による切手の大量購入や現金への換金の疑惑などが広がり、市議会ではこうした疑惑を明らかにするための百条委員会が設置、さらに疑惑を追及されている側が、相手側などに対して百条委員会を設置するなど百条委員会が2つできるという地方議会始まって以来ではないかと思われる前代未聞の状況になっている。この百条委員会設置の過程では、正副議長が議会に姿を見せずに帰り流会になるなどの問題も起き、挙句の果てに正副議長は辞職するなど、今となっては、日本一酷い議会だと思われているのではないかと心配になる。

 地元紙や議会関係者などから聞くところによると、中には80円切手を17,000枚、136万円分も1年間に購入している議員たちがおり、アンケート調査名目で購入しているにも関わらず、アンケートの実態がないとも言われており、現金化しているなどとも噂される。

 現職の議員たちは、こうした実態について、大方の事は把握しているであろうに、現職という事で明らかにしようとしない。

 もちろん、統一地方選挙で議論しなければならない争点は、それぞれの自治体に数多くある。

 しかし、こうした政治の問題は、クローズアップされている時に一気にメスを入れない事には、一向に変わる事はない。

 議会の中での自浄作用などが起こる事はまずない、おそらくこうした問題は全国にあるだろうが、今回の統一地方選挙で徹底的に改善まで追い込まなければ、この問題もあやふやにしたまま終わらせ、表面的な形式だけ少し整えて、後は解決しないどころか、有権者がより見え難い構造へと転換していく事になるだろう。

 今回の統一地方選は、4年に1回のチャンスというだけでなく、ようやくブラックボックスだった地方議会の問題が、有権者や社会の明るみに出て、また、これだけ注目され、問題視された中で迎える大きな機会である。
その意味でも、この統一地方選の重要性を多くの有権者の皆さんに共有してもらいたいと思う。