今日の夕方より、取材依頼の電話がジャンジャンかかってきた。皆さんもヤフーニュースのトップでも見たであろう、日テレの上重アナの件である。

 僕の4つ下の上重アナは元甲子園球児。面識はないが、画面で見る限りとてもさわやかな青年で、視聴率絶好調の日本テレビにおいても高い人気を誇る男性アナの一人だ。この4月からは朝の情報番組「スッキリ」の進行司会に抜擢されている。その上重アナに、下記の追及を明日発売の週刊文春が行ったのだ。


 文春さんの記事内容を僕が詳しく書くわけにもいかない。興味のある方は文春さんを買って読んでくれればいいと思うのだが、ざっくりと概要だけを言っておくと、上重聡アナが、昨年、自宅マンションを購入したらしい。その金額は1億7千万円。正直言って…ちょっとあまりにも…な金額だが、話を先に進める。

 で、その際に、有力スポンサーであるABCマートの創業者の三木正浩氏から多額の融資を無利息で受けていたことが、取材により明らかとなったというのだ。

 週刊文春としては「報道機関である民放の社員がスポンサーから金品などの便宜を図ってもらうこと自体、重大なコンプライアンス違反であり、上重アナの行為は日テレの社員就業規則の懲戒事由に該当する可能性がある」と伝えているわけだが…数点申し上げたい。

・コンプライアンス違反か?と問われれば、それは否定しきれない

 残念ながら、文春さんの記事の指摘は…個人的にはちょっと厳しすぎるのではないかとも思うが…それでも、言ってる理屈は間違ってはいない。これはコンプライアンス的に問題か?と問われれば、迷いなく「全く問題ございません!」とは言い切れない気はする。その理由として…↓

・ちょっと金額が高すぎる

 断言しておくが、日テレの社員です、また日テレよりもずっと高給をもらっているフジテレビの社員です、と言ったところで、通常であれば、1億7千万円のマンションは買えない。断言しておくが、普通では無理だ。上重アナの実家が考えられないレベルの金持ちで、1億円ほどの金額を融資してもらえないと、このマンションは絶対に購入は不可能だ。と、言うことは上重アナは「通常の勤務では手に入らない『利益』を『供与』された」という文春さんの理屈自体は筋は通っていると言える。

・が、悪気があるようには見えない

 上記したように上重アナとは面識はないが、とても爽やかで好感の持てる人物だと聞いているし、記事を読む限り、とても悪意を持ってやった行動とは思えない。記事の中でも出てくるのだが、ABCマートの三木氏が物件の紹介も購入の勧めもしたとのこと。その通りなのだろう。多分、そこまで深く考えて取った行動ではなく、彼自身は「ご厚意に感謝して、いい物件だと思って購入した」という感じなのだと思う。だとすると、今後、適切に処理し、本人が次に同じことをしなければ、「気を付けろよ」で済む話の気がする。


・三木氏にも悪気があるような気はしない

 これは想像の域を出ないのだが、多分三木氏…もしくは、三木氏の奥様などが…上重アナのファンだったりしたのではないだろうか?と、言うのも、本当に「悪意を持った利益供与」だったのであれば、こんな手の込んだ形をとる必要がないからだ。

 実は我々アナウンサーだけではなく、テレビに出演している人間は…はっきりと言ってしまうが、大なり小なりの「利益供与」とも受け取れる行為は…ほとんど全員が受けているものだと思ってほしい。

アナウンサーやタレントの世界の慣例


 世の中には…いわゆる「ミーハー」な人々が少なくなくて、テレビに出ている、というだけで多くの方が友人になろうと話しかけてきてくれるし、その方々も何らかの宣伝になるかもしれない、何らかの見返りもあるかもしれない…という下心も少しありつつ色々なものをくれたり提供してくれたりは、日常的にあることだ。

 普通の人が行けないようなコンサートのチケットは取れるし、普通は行けないようなパーティーには出席できるし、新商品や人気アイテムは、「欲しいですね~」とその会社のスタッフさんに一言言えば、数日後には段ボール箱でアナウンス室に届いたりするのは日常茶飯事だ。

 確かにこれは「利益供与」の一端ではあるし、本来は適切とは言い切れない側面もないとは言えない。

 が、これは企業にとっては大事な営業活動であり、局員のアナウンサーといえども自信のブログやツイッター・フェイスブックなどを活用している今の時代、もしかしたら自身のブログで取り上げてもらえるかもしれない!という思いも、もちろん少しはある。企業サイドとしては、宣伝広告の一環として、女性アナに自分たちのブランドの洋服を着てもらい、そのまま「よかったらお使いください、お似合いですよ♪」なんて言うのは、当然のことでもある。

 が、今回の件は少々これらのケースとは異なる。

 明確に金銭の授受があること。ABCマートは有力なスポンサーであるということ。そして、いくらなんでも…金額が高すぎることだ。記事にあるように「懲戒事由に該当の可能性」は言いすぎだと思うが、局内ではちょっとだけ注意されてしまうかもしれない。それ以前に、とにかく早めに売却手続きをして、こういう指摘はもう受けないようにした方がいいと思う。

 上重アナは、今回は少々可哀想だったと思うが、これらの経験はきっと将来にはいい勉強になると思う。我々アナウンサーは何かあれば、マイクで取り返すのが一番だ。と、言うか…それ以外出来ないのがアナウンサーだ。日テレさんもどうか上重アナを守ってあげてほしい。以前も一度言ったことがあるのだが、局所属のアナウンサーは局が守ってくれなければ誰も守ってくれない。彼を愛する多くのファンのためにも、どうか温情のある対処を切に願うものである。
(長谷川豊公式ブログ『本気論 本音論』(http://blog.livedoor.jp/hasegawa_yutaka/)より転載)