木走正水

 維新の党の上西小百合衆院議員(31)=比例近畿=の衆院本会議欠席をめぐる問題で、同党は4日、上西氏を除名処分といたしました。

 維新としては、上西氏が比例(復活)当選であることから、議員辞職すれば同党比例名簿の次点が繰り上げ当選し党の議席総数を維持可能なことから「議員辞職すべき」と強く迫りましたが、本人は、「法に触れない限りは身分を奪われない」、「議員辞職はしない。無所属で頑張っていく」と、無所属で活動を続ける意向であります。

(参考記事)

維新の党、上西議員を除名 橋下氏「二度と付き合わぬ」

2015年4月4日23時26分

http://www.asahi.com/articles/ASH44758SH44PTIL01F.html


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衆院本会議に臨む無所属の上西小百合氏=3月7日午後、国会・衆院本会議場(酒巻俊介撮影)
 さて、今回、同議員の衆院本会議欠席を受けて、党除籍という厳しい維新の会の対応ですが、ここでは維新の判断の是非、あるいは上西氏の一連の所業など、個別の論説には踏み込むことは避けます、正直低レベルな事象すぎて関心が持てません。

 当ブログとしては今回は、国会議員の「本会議出席率」の現況という興味深い一点にしぼり、読者のみなさんとともに、考察・問題提起させていただきたいと考えます。

 そもそも国会議員の「本会議出席率」はどうなっているのでしょうか?

 昨年になりますが、みんなの党の渡辺喜美前代表が、党代表辞任後、約2か月半、計23回の衆院本会議に欠席届を出し、化粧品製造販売会社会長からの計8億円の借り入れ問題が発覚した直後だっただけに、「疑惑隠しの2か月半雲隠れ」と批判を受けています。

(参考記事)

読売新聞

みんな・渡辺前代表、2か月半雲隠れ

 みんなの党の渡辺喜美前代表が4月の党代表辞任後、約2か月半、公の場に姿を見せていない。

 衆院事務局によると、渡辺氏は、化粧品製造販売会社会長からの計8億円の借り入れ問題が発覚した直後の3月28日から今月20日までに開かれた計23回の衆院本会議に欠席届を出した。

 浅尾代表は20日の記者会見で、渡辺氏について、「体調がすぐれないということで、国会を欠席している」と説明したが、党関係者によると、地元の栃木では、同党の県議に多額借り入れ問題の経緯を説明するなど活動しているという。渡辺氏は周辺に「体調が回復し、医者がOKすれば国会に出る」と話している。

(後略)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20140622-OYT1T50002.html

(リンク切れしています)


 「体調がすぐれないということで、国会を欠席している」と説明しつつ、その実、「地元の栃木では、同党の県議に多額借り入れ問題の経緯を説明するなど活動しているという」ことでしたから、「体調不調」を理由に計23回の衆院本会議に連続欠席して地元で政治活動していたわけで、「ズル休み」の規模としては今回の上西議員の比ではないわけです。

 別に上西議員の免罪を主張するつもりもなく、今は落選中の渡辺喜美氏の過去を必要にあげつらうつもりはありませんが、それにしても私たち有権者としては、国会議員の「本会議出席率」って、決して褒められたものではないような印象を強く持ちます。

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 で、当ブログにて国会議員の「本会議出席率」について調査いたしましたところ、衆議院においては情報ソースがほぼゼロ、わずかに参議院の「本会議出席率」について、過去のいくつかのソースを断片的に入手したのみであります。

 いくつかご紹介。

 2004年7月4日(日)「しんぶん赤旗」では、その年の通常国会の議員の本会議出席状況を調べたところ、「日本共産党議員がいる七選挙区についてみると日本共産党は全議員が出席率100%だったのにたいし、自民、公明、民主各党所属議員で全出席はゼロ。欠席率84%の民主党議員もいました」とのことです。

(参考記事)

7選挙区議員

自民、公明、民主の本会議出席率は…

日本共産党は全員100%

 今年の通常国会(会期百五十日間)における議員の本会議出席状況が参院事務局資料から明らかになりました。日本共産党議員がいる七選挙区についてみると日本共産党は全議員が出席率100%だったのにたいし、自民、公明、民主各党所属議員で全出席はゼロ。欠席率84%の民主党議員もいました。(別表)

 通常国会中の参院本会議は三十一回。首相の施政方針演説とそれに対する代表質問や予算案、有事法制、年金改悪法など審議・採決がありました。

 日本共産党議員が選出されているのは埼玉、東京、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫の七選挙区。共産党議員は全員(今期で勇退の二議員を含む)が出席率100%だったのにたいして、他党で最も多い議員でも出席率74・2%でした。

 目を引くのは愛知選挙区の民主党の二議員。木俣佳丈議員は欠席率84%。佐藤泰介議員も欠席率は74%でした。

 京都選挙区の民主党・福山哲郎議員も三回に二回は出ない“常習欠席”議員の一人です。

 公明党の山下栄一議員(大阪選挙区)の場合、ほぼ半分の十四回を欠席しています。

 衆参両院の本会議は「各議院の意思は本会議の議決によって最終的に決せられるのであって、その意味においては本会議の果たす役割は決定的なもの」(『国会事典』浅野一郎編著)です。

 自民、民主、公明各党の議員は選挙戦で「引き続き国会に議席を与えていただきたい」と訴えていますが、重要な本会議に多く欠席していた責任を有権者にどう説明するのでしょうか。

(後略)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik3/2004-07-04/02_03.html


 ちなみに記事に指摘のある「欠席率84%の民主党議員」でありますが、愛知選挙区の木俣佳丈(民主)氏で期間中の本会議31回中出席5回、欠席26回、出席率16.1%であります。

 この木俣佳丈(民主)氏はこの赤旗記事の翌年の2005年12月29日、愛知県豊橋市の飲食店で、女性店員を蹴って転倒させる等の怪我を負わせるという「傷害事件」を起こしております。

 また、2013年06月02日付けの北海道新聞では、「今国会で参院本会議は、5月31日までに24回開かれた。だが、全議員が出席したのは、3月29日のわずか1回だけ。24分の1」と報じています。

(参考記事)

2.【24分の1】参院、全員出席1日だけ(2013/06/02)

 成年被後見人の選挙権を回復する公職選挙法改正案が可決・成立した5月27日の参院本会議場。全議員236人(欠員6人)中、約5分の1に当たる53人が欠席した。

 欠席者の大半が7月の参院選での改選組で、本会議の出席率は、1月28日から始まった通常国会で最低の78%だった。

 今国会で参院本会議は、5月31日までに24回開かれた。だが、全議員が出席したのは、3月29日のわずか1回だけ。24分の1だ。平均出席率は91・5%。定足数の3分の1には毎回達しているものの、国民の代表たちの、この数字を高いとみるか、低いとみるか—。

(後略)

http://dd.hokkaido-np.co.jp/cont/2013sanin_suuzi/200461.html


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 さて、国会議員の「本会議出席率」ですが、情報ソースがほとんどなく特に衆議院においては、ほぼ皆無なのであります。

 衆議院の事務局は、「国会議員の本会議および委員会の出欠は取っていません」という見解です。

 驚くべきことに、衆議院の国会議員の「本会議出席率」ですが、ネット上に情報ソースがほぼ皆無なのは当然なのであり、そもそも公式統計資料はないのであります。

 本会議がある国会の入り口に議員の名前を書いた掲示板があり、本会議に出席する場合、自分の名前のある掲示板のスイッチを押してランプを付けます、これは本人以外はさわる事ができないので、この情報をシステム化して蓄えればいいだけなのですが、それがカウントされていないのです。

 ただランプをつけるだけで本会議場に入らない議員もざらなので、より正確には議員席に設置された「氏名標」を立てると、自動的に出席をカウントするシステムが必要になりますが、いずれにしても「国会議員の本会議および委員会の出欠は取っていません」(衆議院事務局)のが実態であります。

 一方ネット上、断片的にわずかですが、情報が出ている参議院ですが、参院では1998年から参院改革の一環として、議員席に設置された「氏名標」を立てると、自動的に出席をカウントするシステムが導入され、出欠状況が一目で分かるようになったわけです。

 衆院には、こうしたシステムはなく、出欠の統計はないのです。

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 まとめます。

 国会議員が本会議に出席するのは、当然ながら「お仕事」なのであります。

 しかしながら今検証してきたとおり、この国の衆議院には驚くべきことに、参議院には98年に既に導入されている自動的に出席をカウントするシステムがないのです。

 出席が取られていないのです。

 別に「本会議」に出席することを国会議員の義務化せよなどと極論を主張するつもりはありません。

 党務、病気、海外視察、災害緊急対応など正当な理由で本会議に出席できない場合もあるでしょう。

 あるいは過去を見れば、政治的意思をもってあえて「本会議」を棄権したケースもあります、本会議を欠席することがひとつの「意思表示」である場合もありました。

 そのような正当な欠席理由を認めた上でですが、この国の法律を作る日本の最高機関の構成員たる国会議員に出欠の記録がないとは、非常に大きな問題であると思います。

 参議院が98年以来自動出席カウントシステムを導入して各議員の「本会議出席率」を完全に把握出来ているのに、衆議院が同様のシステムを導入することを拒んでいる理由が、技術的には全く問題がない以上、理解できません。

 衆議院にも参議院同様、個別議員の「本会議出席率」を正確に把握できるようなシステム導入をすべきです。

 国会議員の自己保身のために衆議院がこれを拒否しているとならば、有権者に対する誠実さを欠いた重大な問題であると、ここに問題提起させていただきます。
(「木走日記」より転載)