礼儀正しい、スポーツマンの政治家


 橋下徹を一言で言えば、礼儀正しい、スポーツマンの政治家だ。テレビでみるときの印象とは異なり、人の話をとてもよく聞く。その一方で、類い希な集中力で物事を瞬時に整理して、案件をてきぱき解決する。そして、本物の地方分権を成し遂げようとしている政治家だ。

 地方分権というのは、体のいい言葉だ。ほとんどの国会議員は、地元に戻って中央の官僚が悪いから地方分権をやるべしという。その裏で、中央の官僚に媚びて補助金をもらい、地元に帰ってオレが地方のためにカネを持ってきたと自慢する。

 しかし、橋下氏は国会議員ではない。地方の首長であるが、中央の官僚に媚びることはない。そして、驚くべきことに、中央の国会議員を動かし、それが中央の官僚に地方分権の仕組みを作らせる。それが大阪都構想だ。
安倍晋三首相や菅義偉官房長官との会談を終え、記者団の質問に答える日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長(中央)。左は幹事長の松井一郎大阪府知事、右は沖縄の地域政党「そうぞう」代表の下地幹郎元衆院議員=2013年6月6日、首相官邸

 橋下氏以外のほとんどの首長は、年末に中央の官僚に陳情して、何とか補助金をもらおうとするのが精一杯だ。中央の国会議員を動かせる人なんて、まずいない。

 筆者は長く中央の官僚をやってきたが、橋下氏のようなやり方の政治家をみたことがない。

投票結果次第で何が変わるのか


 いよいよ5月には「大阪都構想」をめぐる住民投票が行われる。これは215万人による日本初の大規模な住民投票で、全国からも注目されている。住民投票の争点や、投票結果次第で何が変わるのだろうか。

 この住民投票は4月27日に公示され、5月17日に投開票。大都市地域特別区設置法に基づき実施され、法的拘束力を持つもので、投票用紙に「賛成」か「反対」を記入する方式で行われ、賛成票が多ければ2017年4月の大阪市の廃止、今の行政区を格上げ統合し5つの特別区の設置が決まる。

 争点は、大阪府と大阪市の二重行政、大阪市民の住民参加の2点である。

 まず第一に、大阪都構想は、大阪市と大阪府の役割分担を見直して二重行政を排除する目的がある。東京都と東京23特別区をみれば、23特別区は福祉や義務教育など身近なサービス、東京都は交通網整備や都市計画等広域行政サービスと役割分担がなされており、二重行政の声はない。ところが、大阪市と大阪府は、「ふ(府)し(市)合わせ」というくらいに、府と市の行政が二重になっている。

 第二に、大阪都構想では、人口270万人の大阪市に一人の公選市長より5人の公選区長を住民が選ぶという住民参加の方が、よりきめ細かい行政ができるという。270万都市を1人の公選市長、公選議会でマネージメントしている先進国都市はない。ニューヨークでもロンドンでも、基礎自治は小さな単位で自治権を有する特別区とし、住民が参加している。

 こうした大阪都構想に対して反対意見もある。二重行政は今の仕組みの下でも、大阪市長と大阪府知事が話し合えば解消できるという。たしかに、机上の上では話し合えばできるだろうが、これまでの歴史はそうした話し合いが無理だったことを示している。

 住民参加にしても、新しい役所を建てたりシステムを変えたりするコストがかかり、最初に600億円ものお金がかかると反対論者はいっている。しかし、今の行政区の建物やシステムが流用できるので、初期コストはたいした話ではない。長期的には、二重行政をなくせて、住民参加をよくするのであるから、初期コストは長期投資ともいえるし、長い目で見れば十分にモトがとれる。