宮田正樹(帝京大学非常勤講師)

 日本バスケットボール協会(JBA)が昨年11月に国際バスケットボール連盟(FIBA)から、FIBA加盟国協会としての資格停止処分という制裁を受けた。日本は男女とも代表チームが国際試合を行えないなど、にわかに脚光を浴びることとなった日本のバスケットボール界であるが、ここでは日本のスポーツビジネスとしての視点から眺めてみることにする。

冬季で唯一の候補


 アメリカでは、MLB、NFL、NBA、NHLの4大プロ・スポーツリーグがお互いのレギュラー・シーズンとプレーオフの期間を異なるものとすることによって、すみ分けを行っている。日本のプロ・スポーツリーグでビジネスとして成立し、テレビ放映されているものは、野球(日本プロ野球機構:NPB)とサッカー(Jリーグ)の2つ。それぞれのシーズンは、NPBが4月から10月末、Jリーグが3月から12月上旬で、冬季をカバーするプロ・スポーツを欠いている。日本一を決める決勝戦が冬を彩るラグビーやアメリカン・フットボールは、興行面でプロ化が見込めない状況にある。日本の第3のメジャー・プロ・スポーツリーグは、プロ化が進み、降雪地域にハンディをもたらさない室内競技であるバスケットボールが、唯一の候補なのだ。
 FIBAが問題としているように、日本の男子バスケットボールにはトップを称するリーグとして、ナショナル・バスケットボール・リーグ(NBL)と日本プロバスケットボールリーグ(bjリーグ)の2つが存在する。いずれも10月から翌年5月末までをシーズンとしており、冬季をカバーするプロ・スポーツリーグとして格好の存在なのだ。

 デジタル化したテレビ業界にとって、スポーツはコンテンツとしての重要性が高まっている。アメリカでは2003年から13年の10年間でスポーツ番組の総放送時間が232%増と驚異的な伸びを記録しており、13年の1年間に2億5500万人が全国放送のスポーツ番組を延べ330億時間視聴しており、03年の260億時間に比べて27%も増加している。日本でも、インターネット配信などさまざまなテレビ視聴の形に対応し特徴あるコンテンツを提供していくためには、プロ野球とサッカーだけではコンテンツ不足が懸念され、新たなスポーツ・コンテンツの開発が必要とされる。

 また、「地方再生」の手段として、地方公共団体にとってプロチームの招致・育成は注目に値する。地方メディアにとっては、地元プロチームは地域密着型の商材として提携価値が十分見込めるものである。

競技者登録数2位


 これらを踏まえて日本のバスケットボール市場を測る数字を見てみよう。NBLとbjリーグの2つのリーグを合わせた年間観客動員数は延べ約130万人にすぎない。しかし、競技者人口を見ると、競技団体に競技者登録される人数は、サッカーが最も多くて約96万人だが、バスケットボールは2位で約62万人。スポーツ実施人口で見ると、サッカーは約750万人、野球が約730万人、バレーボールが約650万人、バスケットボールは約570万人である。バスケットボールは野球やサッカーとさほど遜色ない基盤を有している。バスケットボールは天候に左右されない室内競技という強みもある。

 神様・マイケル・ジョーダンの活躍と「今や神様」井上雄彦の「スラムダンク」の連載開始にも後押しされて、1990年代に空前のブームとなった日本におけるNBAビジネスに裏方として携わった経験がある筆者としては、JBAのだらしなさにしびれを切らしたFIBAによる「介入」と「指導」を機会に、日本のバスケットボール界が第3のメジャー・スポーツに変身していくことを期待したい。

みやた・まさき 大阪大学法学部卒。1971年伊藤忠商事入社。物資部、法務部を経て、2000年5月、日本製鋼所。法務専門部長を経て、12年10月から社団法人GBL研究所理事・事務局長(現在に至る)。非常勤講師として帝京大学で「スポーツ法」、二松学舎大学で「企業法務」に関する教鞭(きょうべん)を執っている。