経済的困難や親の不在で十分な食事を取れない子供のために、各地でNPO法人の支援活動が広がっている。手頃な値段で食事を提供したり、食料を無料で宅配したりするなど、スタイルはさまざまだ。行政の手が届きにくい中、成長期の健康を守る貴重な担い手になっている。

ボランティアが調理


地域交流施設に学校の長期休み中、オープンする食堂「ぴあぴあ食堂」で、昼食を取る子どもたち。経済的困難や親の不在で十分な食事を取れない子供のために、各地でNPO法人の支援活動が広がっている=2014年7月29日、大阪府箕面市
 大阪府箕面市にある地域交流施設。学校の長期休みにオープンする「ぴあぴあ食堂」に、20人以上の子供がお昼を食べにやってきた。この日のメニューは空揚げにサラダ、ご飯とみそ汁。

 午前中から遊んでいた小学1年の男の子は「今日はお母さんがお弁当を作れなかったから、ここで食べる。とてもおいしい」。小学4年の女の子は「お母さんは仕事でいない」と淡々と話した。

 この取り組みは一昨年から「暮らしづくりネットワーク北芝」が始めた。昼になっても「もう食べた」「おなかすいてない」とやせ我慢をして、食事を抜く子が目につくようになったのがきっかけだ。ボランティアらが栄養バランスを考えた食事を作っている。

 同ネットワークの松村幸裕子さんは「普段は給食で補えるが、休み中は朝も昼も食べない子がいる。ひとり親家庭や親の病気などの事情がある」と話す。子供は1食300円。「こども通貨『まーぶ』(あそぶ・まなぶを掛け合わせた言葉)」でも支払うことができる。まーぶは施設の掃除や花壇の植え替えなど、人の役に立つことをすれば、ためることができる。

 「豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」(東京都豊島区)も昨年4月からメンバーの自宅を利用し、月2回、水曜日の夕方に食事を提供している。1食300円のチケット制で、貧困家庭には事前に配り、気兼ねなく利用できるようにした。親子で訪れることも珍しくない。

 新潟県立大の村山伸子教授らは昨年、東日本の4県6市町村で、小学5年約900人を対象に調査。低所得世帯の子には(1)休日に朝ごはんを食べない(2)野菜の摂取頻度が低い(3)インスタント麺をよく食べる-などの傾向があることが分かった。「貧困家庭の子は主食中心で栄養バランスが悪い可能性がある」と村山教授。しかし、こうした実態は外からは見えにくく、学校給食の他には、直接支援する公的な制度がほとんどない。

寄付された食料宅配


 経済的に苦しい家庭に、市民や企業から寄付された食料の宅配をしているのは「フードバンク山梨」(山梨県南アルプス市)。平成22年の開始以来、利用者は増え続け、176世帯、455人(7月29日現在)に上る。子供がいる世帯は3割を占める。

 目立つのは子供が多い母子家庭や、両親ともに非正規雇用のケースで、生活保護を受けるにはさまざまなハードルがあるという。米山けい子理事長は「生活が苦しくても、支援の隙間に落ちている世帯が多い。子供の食を支えるための制度を検討するときではないか」と話している。