東京都渋谷区が、同性カップルに「結婚に相当する関係」を認めるパートナーシップ証明書の発行を盛り込んだ全国初の条例案を区議会に提出した。国内の性的少数者は証明書を歓迎する一方、同区には反対の声も寄せられているという。この条例案をきっかけに、国内での同性婚をめぐる議論はどう進むのか。同性愛者を公表して当選した元豊島区議の石川大我氏と、埼玉大名誉教授の長谷川三千子氏に見解を聞いた。(今仲信博)

「平等へのスタートライン」石川大我氏


 --同性カップルへのパートナー証明書をどうみるか

 「若いLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の人たちの中には、将来に不安を抱えている人が多い。その中で、渋谷区が『結婚に相当する関係』を認める証明書を出す意味は大きく、若い人たちへのプレゼントになる。地方自治体だからこそ、住民のニーズをとらえた形で施策が実施でき、社会が大きく動く地響きを感じている」

 --同性カップルには、実際の社会でどのような不利益が生じているか

元豊島区議の石川大我氏
 「同性婚が認められていない日本では、アパートの入居や病院での面会を『家族』ではないとして断られるなどの問題がある。私も含め、LGBTの人たちは権利がほしいと訴えているわけではなく、平等を認めてほしいということを求めている」

 --証明書の持つ効果は

 「渋谷区では、証明書を取得したカップルは家族向け区営住宅への申し込みができるようになる。また、事業者の裁量に委ねられているが、夫婦と同等に扱われることで、会社での家族手当の支給など配偶者や家族向けの福利厚生制度を受けることも可能になるため、『平等が認められる』というスタートラインに立てると考えている。証明書に法律上の効力はないが、世田谷区や横浜市にも同性カップルを支援する動きは広がっており、渋谷区の条例案が国内でのLGBTの人たちを理解するきっかけになるだろう」

 --渋谷区には賛否の声が多数寄せられている

 「同性婚は幸せな人を増やす制度であり、渋谷区の制度によって日本の家族制度が崩壊したり、不幸になったりする人はいない。差別や偏見が厳しい中、反対意見が多いからやめていいかと言ったら、決してそうではない。生まれによる違いで差別をしないことが法の下の平等。だから、渋谷区には区民や事業者に対して、理解が浸透するように努めてもらいたい」

 --3月区議会で条例案が可決され、実際に証明書を発行することになった場合の課題は

 「パートナーとしての証明書を発行する段階になったときに、最初はある程度の同性カップルが申し込みにくると思う。しかし、本当に必要な人たちが申し込みできる環境づくりをしていくことが重要になる。個人情報の保護など、窓口となる区職員への研修をしっかりとしてもらい、必要な人たちの手に行き渡るようにしてほしい。また、『民間の協力』も一つのキーワードになる。この制度を実効性のあるものにするためにも、区民や事業者の皆さんと一緒に育てていってもらいたい。そういう意味でも、スタートラインだと思っている」

いしかわ・たいが 昭和49年、東京都生まれ。40歳。明治学院大卒。平成14年に著書「ボクの彼氏はどこにいる?」でゲイであることをカミングアウト。参院議員秘書を経て23年に東京都豊島区議選で当選。