疋田智(自転車ツーキニスト)

自転車乗りはほぼ「大歓迎」


 自転車マニアとして、自転車ツーキニストとして、このせまい(自転車)業界内では少しは知られたワタクシであります。職場では「あいつは自転車にイカれちまったヤローだ」との悪評も高い。で、そういう私をつかまえて、こういうことを言う人がいる。

 「よ、ヒキタ(筆者)、なんだか6月1日から自転車の取り締まりがキツくなるって? 自転車ブームだ、何だって浮かれてたオマエラに、ガツンと鉄槌だな(笑)ヒキタも大変だろ、困ってるだろ(笑)」

 とまあ、ここまで露骨に失礼なことをいうヤカラは、多くはないが(いるにはいる)、まあ、言ってることは、皆、おおむね似たような内容だ。つまり、好き勝手にチャリンコ乗ってたヒキタ(および自転車マニア)は、6月1日の法改正で困っているであろう、今後は、あのドロップハンドルの連中はしゅんとするであろう、という推測である。

 まったくお門違いだ。

 話はいわば真逆。まともな自転車乗りにとって、自転車ルールの徹底は「望むところだ」なのだ。無法自転車の蔓延には辟易していた。もちろん私ヒキタにとっても「これぞ待ってました」であって、ようやくこの日がきた、やっと欧州並みの自転車社会が到来するか、と、本気で望むところだったのだ。というのも、もうこの10年以上、私はあらゆる機会をとらえて口酸っぱく言ってきたからだ。

「自転車は左だぞ」
「ベルをチリチリ鳴らすんじゃないぞ」
「基本は車道だぞ」
「スマホいじりながら自転車なんてもってのほかだぞ」
「夜間はライト点けろよ」
「傘差し運転はやめろよ」
「信号守れよ」
「宿題やったか」
「歯磨いたか」
「また来週、ごきげんよう」

 とね。あたかも学校の風紀の先生のように。ラストの3つは「全員集合」の加トちゃんだが。ババンババンバンバン。

 現実として、日々の私は、厳格に「自転車安全利用五則(警察庁)」を守る。誰もいない信号だって守る、車道の左端を品行方正に走る、模範的自転車ツーキニストなのである。ただ、そういう誤解とは別に、6月1日の改正法施行については、もうひとつ大きな誤解があるのもたしかだ。

そんなのは前から同じなのだ


 世間に流布される誤解の一番手は「自転車のルールが厳しくなる」というヤツだ。たとえば、今回の、取り締まりの重点項目は次の14項目なんだが、1つ1つを見てみてると、どうだろう。

1.信号無視

2.通行禁止違反

3.歩行者専用道での徐行違反など

4.通行区分違反

5.路側帯の歩行者妨害

6.遮断機が下りた踏切への立ち入り

7.交差点での優先道路通行車の妨害など

8.交差点での右折車優先妨害など

9.環状交差点での安全進行義務違反など

10.一時停止違反

11.歩道での歩行者妨害

12.ブレーキのない自転車運転

13.酒酔い運転

14.携帯電話を使用しながら運転するなどの安全運転義務違反


 ね。ルール自体はこれまでと何ら変わらない。私がこの10年以上申し述べてきた内容とも、食い違いゼロ。こんなのは前々から違反だったのだ。

 分かりにくいのだけをピックアップすると、2は「原則、歩道は自転車で通っちゃ駄目よ(指定歩道を除く)」などのこと、4は「自転車は原則車道の左側だよ、逆走なんかもってのほか」などのこと。9は「いわゆる“ラウンドアバウト”の交差点については、反時計回りに回ってはいけません」という話だ。なかなか細かいところまで行き届いてる。その他、酒酔い運転、信号無視の禁止などは、当たり前中の当たり前。さらに、14の「安全運転義務違反」には、ケータイやスマホの“ながら”運転、傘差し運転、2人乗りなどが含まれてくる。

 厳しい? 何をおっしゃる。みな事故の元凶だ。こういうのを野放しにしてきたから、自転車事故件数は高値安定だったのである。ちゃんとした自転車乗りにとっては、こんなのみんな当たり前。これからも、これまでも「知らなかった」じゃ済まされない、自転車運転の基本なのである。

 ただ、今回新たに付加されたことがないわけじゃない。一番大きな違いは、違反した際の警察の対処だ。