赤木智弘(フリーライター)

 インターネット上での生放送を利用して、浅草三社祭でドローンを飛ばすことを示唆したとして、15歳の少年が威力業務妨害の疑いで逮捕された。

 この少年は以前から横浜のランドマークタワーでパンツ一丁になったり、講座を受講しては無許可配信をしたりと、迷惑な生放送を繰り返しては警察の注意を受けていた。

 今年の2月には、マスコミに混じって川崎市で発生した中学1年生殺害事件の容疑者宅の生配信を行い、これがマスコミで問題行動として報じられ、名前を知られる存在となった。

 5月になると、4月に発覚した首相官邸にドローンが落ちた事件に刺激を受けたのか、善光寺の敷地内でドローンを飛ばして落下させ「ドローン少年」と呼ばれるようになった。そして幾度かドローンを飛ばそうとして警察に注意をされ続け、三社祭への参加をほのめかしたところで、今回の逮捕となった。

 逮捕後にわかったこととしては、彼は度重なる問題行動から、家族からはPCを取り上げられたり、お小遣いをなくされたりしていたが、少年はネットでグッズを販売したり、活動のサポートを募るなどして、お金を集めていた。そのお金でドローンやPCを購入していたという。

 そうしたことから、本人の周囲の迷惑を顧みない活動以上に、彼に資金を与えていた人たちの無責任さが批判されている。

ネットの向こうの大人たち


 少年の配信を追いかけていたわけではないので、真偽の程は不明だが、ネット上で少年の活動などをまとめた記録を見るに、少年は中学校をドロップアウトして、高校には通っていないという。

 学校からはじき出されてしまった少年が、ネットでの生配信を通じて多くの人の興味を引き、お金を集めて自立する。ストーリーラインだけをなぞれば、サクセスストーリーにもなりそうな話が、どうして少年の逮捕という結果を招いてしまったのだろうか?

 僕はその原因として、少年の周囲に彼を導くことのできる大人がいなかったことが原因だと考えている。

 とはいえ、彼らは決して悪い大人では無かった。彼らは至って普通の大人だった。

 幾度と無く警察の厄介になる子供を叱り、PCを取り上げたり、小遣いを与えないようになったのは、親としては当然の態度であったと思う。しかし残念ながら、親としての厳しい対応は、結局は少年を自分を認めてくれるネットの世界に逃げ込ませるきっかけにもなってしまった。自分を認めてくれない家族と、自分を認めてお金まで与えてくれるネットの向こうの誰か。少年がネットの向こうを選択するのは必然であったと言えよう。

 では、ネットの向こうの大人はどうだったのか。彼らもまた普通の大人であった。

 ネット上では、少年に金銭などを与えていた人たちに対して「大人たちが少年をドローンのように操っていた」と批判されている。「うまいことをいうなぁ」とは思うのだが、しかしそうした大人というのは、ネットに限らず現実世界にも存在して、金のない若者にお金を与えているのである。現実世界ではそうした人たちを「タニマチ」や「パトロン」と呼ぶ。

 ネット上のコンテンツにはお金を払わないというのが常識とも言える中で、素人が作ったコンテンツにちゃんとお金を出してくれる大人の存在というのは非常に重要である。そうした意味では、世の中の多くの大人たちよりは、彼らのほうがよほど成熟した大人であったといえるのかもしれない。

 だが、それもまた、少年の放送の過激さと引き換えのものだった。彼らは少年の過激な放送にお金を出すことで、少年の過激さを煽る役割を果たした。少年がドローンを飛ばしたのも、騒がれることをしたほうが、多くの人が集まり、お金を稼げると考えたからだろう。そしてその過激さには歯止めが効かなくなった。少年がネットで認められ続け、お金を得続けるためには「過激なネット配信」という仕事を続けるしか無くなってしまったのではないかと、僕は考えている。