なでしこジャパン主将・澤穂希に新たな「世界一」の勲章が加わるか。女子サッカーの世界最優秀選手を選ぶ“2011 FIFA女子バロンドール”である。10月にノミネート10名を選出した同賞は、12月5日に最終候補者3名を発表。マルタ(ブラジル)、ワンバック(米国)とともに澤がエントリーされた。(編集部注:同年のFIFA女子最優秀選手賞は澤穂希選手が獲得した)

 世界的に高い評価を得る澤の意外なエピソードについて、彼女の最新刊『夢をかなえる。』(徳間書店刊)を構成、『世界一のあきらめない心』(小学館刊)を上梓したスポーツライター・江橋よしのり氏が解説する。

 なでしこジャパンが合宿を行なう際、選手全員が持久力やダッシュ力、ジャンプ力などの運動能力テストを受けることがあります。意外ですが、澤はどの種目も平均点そこそこなのだそうです。澤本人も「だから私は、自分を一番の選手だと思っていない」と謙虚に受け止めています。

女子サッカー・国際親善試合 日本対ナイジェリア 攻める日本・澤穂希=2013年9月22日、長崎県立総合運動公園陸上競技場 (撮影・山田喜貴)
 それでも澤は、いざ試合となると誰よりも最後まで徹底的に走ります。テレビ画面からは分かりにくいですが、スタジアムでよく目を凝らして見てみると、澤は“ムダのない走り”を誰よりも実践していることが分かります。つまり澤は、「ここでボールを奪えそうだ」と感じたエリアに、一直線で走っているんです。途中でコースが変われば、やはり誰よりも早く軌道を修正して先回りしています。いってみれば澤は、“究極のエコ・サッカー選手”なんです。

 そのうえで、溜めていた力を勝負所でしっかり使う。足の止まったマーカーを簡単に振り切ってゴール前に顔を出し、シュートを放っている。だから得点も量産できるんですね。こういうタイプの選手は、世界を見渡しても男子選手ですらなかなか見つからないでしょう。

 では、澤は一体どのようにしてボールを奪う嗅覚を身につけたのか。ストレートにこの件を本人に問うと、明確な答えは返ってきませんでした。強いていえば「サッカーが大好きだから」「もっとうまくなりたい、といつも思っているから」といった返事が返ってくるばかりです。無意識的に体現できる正解でも稀有な才能! つまり、「他人に説明できない感覚=澤特有の能力」と解釈すれば、澤穂希がいかに突出した特別な選手であることの理由が分かる気がします。


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