岡崎研究所

 米外交問題評議会(CFR)のバン・ジャクソン研究員が、4月20日付のDiplomat誌で、日韓関係改善の道は、PSIなど第三国を含む枠組みの中で協力関係を図ることにあり、米国もその方法により関係改善を支援すべきである、と論じています。

 すなわち、理論的指標からみると、日韓はお互いに友好国になる筈だが、両国は島の問題などのため意味ある二国間関係を持てないでいる。

 理由の一部は、両国の国内政治にあると言われる。しかし、国内政治だけでは十分な説明にならない。社会学者や歴史学者は、問題は、特に植民地時代の経験を通じて作られたアイデンティティーにあるとする。しかし、同様の経験を持つフィリピンでは事情は違っている。韓国では、対日関係が団結のためのナショナリズムになっている。日本統治の辛苦が韓国人の韓国人たる所以になっている。

 さらに、日本人の記憶は違う。過去につき日本に責任があるがすべてが悪かったわけではないとか、日本も犠牲者だったとかといったことになる。確かに、原爆の犠牲になった唯一の民族である。

 このようにみると、歴史問題は簡単には克服できそうもない。ビクター・チャーは、地政学的脅威や利益を共有しても日韓友好の新時代が到来するとは言い切れないとする。

共同記者会見を終え、握手するケリー米国務長官(左)と韓国の尹炳世外相=5月18日、ソウルの韓国外務省(共同)
 しかし、成す術がないわけではない。二国間関係が悪くても、両国は他のレベルや他の方法で協力することができる。2005年双方の海保が対峙した時でも両国は六カ国協議には活発に参加した。2012年に日韓防衛情報保護協定が署名直前に韓国の反対でできなくなった時でも、日韓は大量破壊兵器不拡散イニシャティブ(PSI)の演習など諸々の活動に参加した。

 米国が日韓を協力させたいのであれば、両国に第三国を含む多国間の活動に参加させるようにすべきである。そうすれば、日韓協力の道筋が見える。日韓二国間の利益計算の枠内で両国に協力を促すことに時間を浪費するよりも、アジアの他国との多国間の枠組みで両国が協力するように焦点を当てるべきである、と論じています。

出典:Van Jackson ‘How to Fix the Japan-South Korea Relationship’(Diplomat, April 20, 2015)

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 日韓を二国間の枠内で協力させようとしてもうまく行かず、むしろ、多数国間の枠内で日韓を協力させていくべきだとの主張は、目新しいものではありませんが、有益です。

 日韓両国が二国間シンドロームから抜け出すには、国内の、あるいは、国外のオネスト・ブローカーが必要となります。かつては、両国の大物政治家がそのような役割を果たしてきました。しかし、今はそれも期待できません。そうであれば、米国しかありません。今、米国は、日韓関係を改善しようと、努力を続けています。2月27日の国務省シャーマン次官補のアジア演説は日韓関係にも触れた良い、正直な演説でした。ところが、これに韓国は強く反発しました。米国が釈明のステートメントを出して、問題にはならなかったようですが、最後のオネスト・ブローカーである米国を疲れさせてはいけないでしょう。

 ジャクソンは、2012年9月26-27日のPSI演習を高く評価しています。同年の演習は韓国が主催したもので、韓国の威信もかかっていました。開催されたことは良かったですが、問題もありました。参加国の艦艇は釜山港寄港を予定していましたが、海上自衛隊護衛艦の寄港は拒否されたのです。

 いずれにしても、日韓関係は、双方の努力により何とか前に進めて行くことが必要です。それには、以下のようなことが考えられます。

 例えば、北朝鮮のミサイル、核、そして拉致問題をみても、深刻さを増しています。民主主義国家である日米韓の連携が、益々重要となってきていることを、韓国も認識して行動をとってくれることを、日米両国とも願っています。韓国内でも、安全保障専門家の中には、同様の意見を持つ者も多いようです。