尖閣周辺海域では中国艦船による示威行動が繰り返され、ついに潜水艦による接続水域侵入まで起きた。中国の航空母艦「遼寧」を含む艦隊が東シナ海に打って出た時、海自は防衛ラインを守れるのか。

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 南西諸島周辺海域で中国海軍と向き合うのは自衛隊隷下の2個護衛隊群16隻とP-3C40機、さらに潜水艦部隊8隻だとしよう。1個護衛隊群はイージス艦2隻、ヘリコプター3機を搭載する護衛艦1隻、哨戒ヘリコプター1機を積む護衛艦5隻で編成される。

 中国海軍が空母機動部隊を編成して出撃した場合、まず潜水艦と空自機に護衛されたP-3Cが対処し、水上部隊はミサイル防衛、防空、通峡阻止の任務に当たることになる。こうした海戦での海自の優位は当分動きそうにない。
そうりゅう級の2番艦「うんりゅう」。日本は通常動力型潜水艦で世界最高水準の技術を誇る(防衛省提供)

 理由の一つは中国空母が洋上防空能力に欠陥のある“張り子の虎”だからだ。遼寧にはカタパルトがなく、重い戦闘機を発艦させられない。昨年11月、戦闘機J-15(殲15)の発着に成功したと中国側は発表したが、実際は武器や燃料の搭載量を極力減らしての成功であった。実戦ではそんな艦載機が、自衛隊の対艦攻撃を阻止するのは困難である。

 二つ目の理由は、潜水艦の戦いで海自が優勢だからだ。

 冷戦時代から培われてきた海自の対潜水艦作戦能力は世界最高水準にある。原子力潜水艦こそ持たないが、非常に静かな通常動力型潜水艦を有す。特に最新鋭のAIP(非大気依存推進)動力型潜水艦である「そうりゅう型(5隻)」は2週間以上も浮上せず潜航でき、敵の潜水艦の監視を逃れながら空母を狙える。ミサイルで甲板に一つでも穴を空ければJ-15は発着不能。魚雷が艦底で爆発すれば空母に致命的な損傷を与える。

 総数約60隻の中国海軍の潜水艦はロシアから技術移転あるいは譲渡されたもので、全般に雑音のレベルが高く、探知されやすい。現在、日本は対潜任務を得意とするP-1とP-3Cを計80機保有。対する中国軍はP-3Cと似た大型の哨戒機をわずか4機持っているだけだ。

 中国海軍は兵力約26万人を擁し、艦艇数約1090隻、総トン数約135.2万tを誇る。だが、現代の海戦においては対潜水艦戦の能力差が勝負を分ける。この点で海自との差は簡単には埋まらない。