野田内閣は「女性宮家」創設の検討に入ったが、野田佳彦首相(54)は頼りない。神話からの系譜が続く皇統は、初代の神武天皇から第125代の天皇陛下(今上(きんじょう)天皇)まで、男性皇族の血脈(=父方の系統に天皇をもつ男系)で皇位が伝わってきた点に特徴がある。この伝統は「万世一系」と呼ばれ、日本の国柄の美質として尊ばれてきた。皇統の生命線、大原則といえる男系の継承が「女性宮家」によって否定される恐れがあるのだ。

謙虚に歴史を学べ

 「女性宮家」の創設で女系のお子が皇位継承権を持つことになれば、「女系天皇」を容認することになる。文化的背景の異なる外国の王室はいざ知らず、日本では女系の継承で現皇統は失われる。「女系天皇」の父の系統の新王朝になってしまう。
 国民統合の象徴のはずの皇位の正統性をめぐって国内に対立が生まれ、皇室を中心とする日本の結束を嫌う内外の一部勢力は喜ぶことになるだろう。

 秋篠宮殿下(46)のご長男、悠仁(ひさひと)さま(5)の世代に、他の男性皇族がおられない問題の解決策は他にある。

 旧11宮家の男系男子の皇籍復帰をお願いするのが、皇室の伝統を踏まえた方策だ。敗戦後の混乱や占領軍の圧力がなければ皇族でおられたはずの方々だ。今は市井に暮らしていても、悠仁さまが今世紀後半の長い期間、皇位におられるであろうから、皇籍に復帰される方々が威厳を取り戻す時間は十分ある。

 旧皇族男子の系統(=男系)が、皇族に復帰した例は複数ある。「寛平(かんぴょう)の治(ち)」を称(たた)えられた第59代宇多(うだ)天皇(在位887~897年)もそうだ。

 古代や江戸時代の話だからといって軽視するのは自国の歴史をおとしめるものだ。千年以上前の出来事も同じ皇統のこととして、参考にできる古くからの国柄なのだから。

 伝統を基盤とする皇室については、現代の浅い価値観だけで考えてはいけない。謙虚に歴史や伝統を学び、過去から現代、そして未来の日本人に恥じない答えを出すよう努めてほしい。

 明治の大法政家の井上毅(こわし、1844~1895年)や元勲の伊藤博文(1841~1909年)はそのような立場で、一部にあった「女系天皇」容認論を退け、国の肇(はじ)めからの伝統に沿った男系の継承の大原則を尊重した明治の皇室典範を実現した。これを覆(くつがえ)せるほど現代人は賢いのだろうか。

首相の不見識

 藤村修官房長官(62)は11月25日の記者会見で「国家の基本に関わる事項」として、「安定的な皇位の継承の維持」を検討すると発表した。
 一方、野田首相は12月1日の記者会見で、「皇室活動の安定性」つまり皇族のご公務という問題意識は示したものの、はるかに大切な皇位継承について説くことはなかった。

 また、秋篠宮殿下は11月30日のご会見で、今後の皇室のあり方について「私もしくは皇太子殿下の意見を聞いてもらうことがあってよいと思っております」とおっしゃられたが、首相は「国民的議論」しか言及していない。立憲君主制のもとで行政府を預かる内閣総理大「臣」として、不見識ではないか。

 不見識といえば、民主党の樽床(たるとこ)伸二幹事長代行(52)は11月25日の会見で、「個人的には現在の天皇制度を是認する立場だ」と述べたが、「是認」という言葉遣いは要人の会見として適切ではない。

 舛添要一新党改革代表(63)は12月2日の会見で、「男女平等なんだから」と述べ、「女系天皇」に道を開く形の「女性宮家」に賛同した。

 世襲の伝統に基づく皇位継承に、一般国民の「男女平等」がなぜ関係するのだろう。舛添氏は「女性天皇」という言葉が出てこず、「女性の王様、というか女王様」などと述べ、記者団から「女性天皇ですね」と助け舟を出された。軽い印象は否めない。
 (政治部 榊原智)