増田寛也(日本創成会議座長)

 〈東日本大震災直後の平成23年5月に学識経験者や産業界、労働界の有識者を集めた日本創成会議を創設、座長に就任した。26年5月には、出生率の向上と地方から都市への人口流出を防ぐための提言「ストップ少子化・地方元気戦略」を発表。896市町村で2040年までに若年女性(20~39歳)が50%以上減少し、“消滅”の恐れがあると警鐘を鳴らした〉

 反響は予想以上でした。「“消滅”とは何だ」との声はありましたが、おおむね「これで議論の材料ができた」と好意的に受け止められました。多くの地方がこのままではやがて立ちゆかなくなると知っているからです。

 岩手県知事になった当時から小中学校の統廃合が課題になっていた。子供が減っているため、いずれは廃校だけでなく廃村の議論をしなければならないことは、当時から多くの人が分かっていたのです。

 若年女性を指標にしたのは、昨年3月に国立社会保障・人口問題研究所が詳細な年齢男女別の将来推計を出し、正確な将来予測が可能になったためです。子供を産む女性の95%が20、30代ですから、将来の子供の数を知るには、その年代の女性の数を調べるのが一番いい。それに人口移動を考慮して推計しました。

 〈生まれてから20~39歳までに男女ともに3割程度の人口流出がある自治体では、30年後に若年女性の人口は半減し、60~70年後には2割まで低下する〉

 女性1人当たりが産む子供の数が増えても、女性そのものの数が少なければ人口は増えません。今年生まれる赤ちゃんは、全国で100万人をギリギリ切るでしょうね。

 昨年の合計特殊出生率(全国1・43)をみると、沖縄1・94、宮崎1・72と「2」に近い県がある一方、東京は全国最低の1・13です。上海、ソウルやシンガポールなどの例からも人口密集地域では子供を産み育てにくい。家賃は高く家は狭い。東京は周辺から人口を吸い取り、やがて自滅するブラックホールです。

 それなのに高校卒業後に東京の大学に入学したり、就職したりした地方の女性は、ほとんど地元には帰ってきません。東京の文化に魅力を感じ、そこで頑張るからです。一方で地方での若い女性の仕事は、介護施設のヘルパーなど高齢者関連が中心。しかも、地方ではすでに高齢者も減り始めている。

 流出を防ぐには、若年女性の仕事として希望の多い事務やサービス産業が地方に必要です。

 振り返ると、これまでは政策を決定する地方の行政当局には20、30代の女性の意見を吸い上げる姿勢が一番欠けていた。行政の周囲にいる農協や建設業界の役員もほとんどが男で、ある程度の年齢。県議会も男性が多く、知事も周辺の意識に強く影響される。サラリーマンも少なく業種も偏っていて、決まり切った世界観、価値観のなかで物事が進む。

 最も政策との接点が欠けていた年齢層の仕事をどう増やすか。本当に効果がある対策や切迫感が欠けているのです。