安倍晋三(第97代内閣総理大臣)

 ――総理は4月末に訪米され、日米首脳会談、公式晩餐会、連邦議会上下両院合同会議での演説に臨まれました。これに先立ち、外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)も行われました。一連の行事についての報道を見て、日本は敗戦から70年を経て、ようやく戦後から脱却する大きな一歩を踏み出したのではないかと思えました。総理の手応えは?

 安倍晋三首相(以下、「安倍」と略) 1957年、私の祖父で当時の総理であった岸信介は、訪米して当時のアイゼンハウアー大統領と首脳会談を行い、上院と下院のそれぞれで演説しました。大統領とはゴルフもプレーし、一緒にときを過ごしました。GHQ(連合国軍総司令部)による占領は終わっていましたが、敗戦からまだ12年しか経っていない時期です。
質問に答える安倍晋三首相=首相官邸(寺河内美奈撮影)
 3年後の1960年に日米安全保障条約の改定期が迫る中、祖父はこの時すでに、占領下で交渉が行われた条約を独立国家・日本にふさわしい形に改正して、日米に新しい時代をスタートさせるという決意を胸にしていたのだと思います。

 東西冷戦の終結を象徴したベルリンの壁崩壊から25年が過ぎ、世界はさまざまな課題に直面しており、各国が協力しながら取り組んでいかなければならない時代を迎えています。

 日本の首相として初めてとなった米議会上下両院合同会議での演説で、私は、祖父が文字通り首相としての政治生命をかけて条約改正に取り組んだ日米同盟を、21世紀において「希望の同盟」にしようと呼びかけました。

 国際社会が直面する課題に日米が手を携えて取り組み、よりよい世界を実現するために協力していく。そんなビジョンを示すことができたのではないか、と考えています。

 ――日本が国際的なプレーヤーとしての責任を果たしていくという決意を示された。戦後の日本が失いがちだった国家の主体的意志を示されたという点も、画期的なことだったと思っています

 安倍 私が申し上げたかったことは大きくは2つです。1つは、アジア太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増すなかで、それに対応する日米同盟にしていかなければならないということです。日米同盟がより機能的になり、より効果を発揮するものにならなければなりません。強力な日米同盟のプレゼンスは、アジアの多くの人たちも期待をしており、アジア太平洋地域における抑止力は格段に強くなる。自由で民主的な、法の支配を尊ぶアジア太平洋地域、繁栄するアジア太平洋地域を築くための礎となるという決意を申し上げたつもりです。

 もう1つは、国際的なテロや過激主義、サイバー攻撃、あるいは大規模な災害、地球規模の気候変動といった国際的な課題に日米が手を携えて問題の解決に務め、リーダーシップを発揮していきましょう、ということです。これがまさに「希望の同盟」だと申し上げたわけです。その意志を示すことが、今回の訪米、とりわけ、首脳会談、議会演説の主要なテーマでもありました。