著者 石原秀和(兵庫県)

 武器の使用の必要がなかった縄文時代から、出雲の国譲り、十七条憲法、自然の力によって元寇から守られ、最高の武力を保持した状態での鎖国など、平和な暮らしが当たり前であったこの日本国を、否応なくその平穏な眠りから叩き起したのは、欧米によるアジア侵略であった。

 日本とタイ以外の国は、悉く欧米列強によって侵略され、日本はその侵略から自国を守る為、不平等条約をのみ開国、明治維新を果たし、一刻の猶予もなく欧米のルールに沿った近代化を成し遂げなければならず、貧しい予算を割いて富国強兵にがむしゃらに突き進んできた。

 幸い日清戦争を経て更に国家存亡を掛けた日露戦争へと辛うじて勝ち進む事が出来たのは、当時世界を制する英国との同盟があり、米国も扶けてくれたからであり、日本には力強い味方が居たという事実があったからだ。おかげで不平等条約の解消も叶えることが出来た。
昨年4月の日米首脳会談で日米同盟の結束を確認した安倍首相(右)とオバマ米大統領=東京・元赤坂の迎賓館(代表撮影)
 ところが、連戦連勝に舞い上がり、その後の第一次大戦で、それまで加勢をしてくれていた同盟国のイギリスが危機に瀕して要請した軍事援助を断るという大きな間違いを犯した得手勝手な日本は、先生であるイギリスからは愛想を尽かされた。

 人種偏見を受けるアジアの国として、国際連盟の常任理事国にまで仲間入りをさせて貰っていた日本は、声高らかに人種差別の撤廃を提案したが、それは英米のルールには相反するものであったので退けられた。

 人口増加で食糧難に喘ぐ日本がそれまで未開発の地である満洲へ開拓の手を伸ばした事も英米の気に入らない事であり、日本の努力を無にする要求が突きつけられた。その要求が呑めない日本は遂に国際連盟を脱退し、孤立への道をまっしぐらに突き進んでしまった。当時の日本国民は、その破滅への道を憂えるどころか、なんと大歓迎したのだった。

 日露戦争で台頭した日本が目障りになったアメリカはその2年後に日本を叩きつぶすためのオレンジ計画を作成したが、第一次大戦では日英同盟が邪魔をしてうまく実行にうつせなかった。そこで、日英同盟を解消する策を練ったが、同盟国を扶けようとしない日本に愛想をつかせていた英国を日本から引き離すことは比較的容易であった。

 かくして、日本は全く孤立状態になり、アメリカのオレンジ計画は着実に進み、経済封鎖を経て、結局最初から勝ち目の無い大東亜戦争に引きずり込まれる事になった。結果敗戦、GHQにより、日本が二度と刃向かう事の出来ないようにするための日本大改造が矢継ぎ早に推し進められた。

 その効果は絶大で、特に日本国憲法の第九条は、もともと多神教で性善説に立ち、平和を愛する日本国民の心に嵌まり込んでしまい、アメリカの巧みな日本属国化政策と相まって、一神教で性悪説が当たり前の世界情勢にも拘らず、一種の九条平和教とも言える信奉者で日本を埋め尽くしてしまった。

 戦後70年の現在、日本を取り巻く状況は日に日に悪化しており、また日本に駐留するアメリカの軍事力も衰えてきている。日本を危機から守る為には、現在唯一の同盟国であるアメリカとの関係強化が必要で、アメリカが望む集団的自衛権の行使は、先の日英同盟の時の大失敗を教訓に、早急にその環境を整備し、万全なものにする必要があると思われる。

 日露戦争後は、日本を潰そうとするアメリカが日英の同盟関係を分断する事に成功し、日本を敗戦に導いた。今現在は、日本を侵略しようとする中国が日米の同盟関係を分断しようと画策しているのだ。日本を守る道は殆ど崩れかけている日米同盟の再構築とその強化しかない。

 経済交流だけでは弱い他国との繋がりも、集団的自衛権の行使によってより緊密な関係を築く事が出来、日本の孤立を防ぎ、抑止力を高める大きな力となるのは間違いないであろう。

 現内閣で安倍首相が世界中を駆け巡り、諸外国との関係強化を行い、そのうえでの集団的自衛権行使の為の法案に力を入れているのは、この平和を愛する日本国、例え軍隊があっても武士道精神と隠忍自重で極力戦力の使用を抑え、肝心な時でも兵力を出し渋って大失敗をしてきた日本国が、再び同じ間違いをしないための第一歩だと思う。