国民新党代表の亀井静香郵政改革・金融相(73)は24日の記者会見で、夏の参院選で、「本格保守」を党のスローガンに掲げることを明らかにした。民主党が進める永住外国人への地方参政権(選挙権)付与と選択的夫婦別姓導入に国民新党が反対することで、勢いが振るわない自民党を尻目に、保守票の受け皿になろうというものだ。巨大な「リベラル政党」民主党の政権を、「本格保守」を称する小粒な国民新党が連立で支える奇妙な構図といえる。さりとて、自民党が「保守政党」として二大政党の一翼を担っていく見通しも立たない中、参院選に向け、保守をキーワードとする新党結成の模索が始まるのではないか。

リベラルと保守の連立とは

 「外国人参政権と夫婦別姓は、国民新党が反対しているからこそ実現していない。うちが賛成に回ったら、この国会で一瞬にして成立しちゃう。政治的にそういう力学だ」
 亀井氏は24日の会見で、「本格保守」を唱える党ポスターを披露し、こう語った。外国人参政権と夫婦別姓を阻止したいなら国民新党に投票してほしい、というわけだ。
 民主、社民、国民新の3党連立政権は、亀井氏も参加する党首クラスの「基本政策閣僚委員会」が了承しなければ、法案を閣議に提出しない仕組みだ。
 亀井氏は、外国人参政権法案と選択的夫婦別姓導入のための民法改正案について「うちが反対している限り、絶対に日の目をみない。熱望している方にはご愁傷さまといいたい。(実現には)国民新党が消えていく以外にない」とも述べたが、あながち間違いではない。
 ベテランの亀井氏は政策決定で民主党を引きずり回しているが、報道各社の世論調査の政党支持率は低空飛行を続けている。郵政問題は重要とはいえ、国民の関心は以前と比べれば薄れた。保守票の取り込みは国民新党の回生策なのだ。
 もっとも、亀井氏は昨年の衆院選の際、毎日新聞の候補者アンケートで、憲法9条改正の賛否と、集団的自衛権の行使を禁じた政府の憲法解釈の見直しの是非を問われたが、いずれも無回答だった。保守派の条件の一つともいえる熱心な憲法改正論者とまでは言い難い。
 民主党は左翼的、リベラル志向の法案をちらつかせて左派の票やリベラル票も集める。一方、連立内での国民新党の異論を許容し、保守票も連立内(の国民新党)に取り込む-こんな戦術を、小沢一郎幹事長(67)率いる民主党はとっているのかもしれない。
 ただし、参院選の結果次第では、国民新党は「拒否権」を失ってしまう。参院選で民主党が単独過半数を得れば、国民新党の力は大きく低下し、リベラル法案に異論を唱えても、参院選後の民主党は応じない可能性もある。

保守になりきれない自民党

 自民党は1月24日の党大会で、「保守政党」と自己規定する新綱領を決定した。けれども、加藤紘一元幹事長(70)の側近だった谷垣禎一総裁(64)、国会対策畑を長く歩んだ大島理森(ただもり)幹事長(63)、大東亜戦争(太平洋戦争)を侵略だったとし、首相の靖国神社参拝に難色を示す石破茂政調会長(53)たちが、「保守政党」を引っ張っていく信条を持っているとは思えない。
 安倍晋三元首相(55)は、保守系議員グループ「創生『日本』」の会長だが、保守系議員らは自民党自体の主導権を握っていない。「今さら政権投げ出しの安倍氏でもないだろう」との世間の見方をはね返すのも難しい。
 舛添要一前厚生労働相(61)は2005年の自民党新憲法草案のとりまとめで、日本の歴史や伝統、文化など国柄に言及した憲法前文案を退け、担当した中曽根康弘元首相(91)を激怒させた人物だ。
 自民党を離党した渡辺喜美元行政改革担当相(57)のみんなの党は支持を伸ばしているが、公務員制度改革という「反官僚」のワンイシュー政党だ。自身が出馬した衆院選で新党をつくらなかった平沼赳夫元経済産業相(70)の存在感も落ちた。
 かえって、地方の政治家など新しい勢力が「保守の旗」を掲げて国政に挑むチャンスが増している。
(政治部 榊原智)