佐藤仁(情報通信総合研究所 副主任研究員)

 Appleは2015年7月21日に2015年Q3(4~6月期)の業績発表を行った。売上高は前年同期比32.5%増の496億500万ドル、純利益は37.8%増の107億ドルだった。

Appleの売上の63%を占めるのはiPhone


 Appleの売上高496億500万ドルのうち、313億6,800万ドルがiPhoneで、Appleの売上高全体の63%を占めた。2015年Q2(1~3月期)は69.4%、2015年Q1(2014年10~12月期)は68.6%とさらに高かった。Q2には中国の旧正月シーズンでのセール、Q1は世界的なクリスマスのセールがあったから、その時期に比べると売上全体に占めるシェアは若干減少しているものの、前年同期は52.8%だったので、Appleの売上がiPhoneに大きく依拠している。

製品別での出荷台数、売上高および売上高に占めるシェア
(Apple決算資料を元に作成)

中国での売上高が大きく増加:前年同期比112%増


 Appleでの売上高496億500万ドルのうち、中華圏(中国、台湾、香港)での売上が132億3,000万ドルで、Apple全体のうち26.7%を占めている。2015年Q2(1~3月期)は中華圏の旧正月セールでApple全体の売上のうち29%が中華圏と大きかった。中華圏での売上は前年同期には62億2,700万ドルだったので、1年で2倍以上に増加している。

 中国ではiPhoneが大人気だ。Appleがブランドとしての地位を確立しており、iPhoneを使っていることがステータスのようになっている。見栄を張りたがる中国人の多くは、通信料金は安いプランに入っていても、人の目につくスマートフォンはブランド品のiPhoneを所持したがる。それでもiPhoneは中国でも高価だから、購入できない人も多く、そのような人々はXiaomi(小米)やLenovo、Huaweiといった地場メーカーや韓国サムスンのスマートフォンを購入している。

地域別での売上高とシェアの推移
(Apple決算資料を元に作成)

いつまでiPhoneの人気は続くのか?


 2015年1~3月期にスマートフォン製造の世界主要8社が稼いだ営業利益166億5,200万ドルのうち、約92%をAppleが占めたと、カナダの投資銀行カナコード・ジェニュイティの調査で明らかになった。2位のサムスンの15%を大きく引き離し、スマートフォンメーカーではAppleの「独り勝ち」である。
北京のアップルストアの大型スクリーンに映し出されたiPhone 6のCM=2014年10月30日

 いつまでiPhoneの人気は続くのだろうか。スマートフォンは基本的にどれでも同じである。iPhoneでしか出来ない機能やサービスは多くない。世界中で多くの人が利用しているアプリは、SNSやメッセンジャー、ゲームや動画などAndroidのスマートフォンでも同じである。またカメラや電池の持ちなど製品自身の機能ではiPhoneよりも優れているスマートフォンも世界中には多数存在している。

 iPhoneが国内外で人気があるのは、通信事業者が「2年縛りの契約」などとセットで販売していることから、AppleだけでなくNTTドコモやソフトバンクといった通信事業者もiPhone販売に注力してくれることから、ユーザーから見るとiPhoneが一番お得に見えるからであり、そのようにしてiPhoneは普及していった。

 かつて携帯電話(フィーチャーフォン)が隆盛だった頃にはフィンランドのNokiaが圧倒的な売上とシェアを誇っており、それに米国のモトローラが続いていた。10年前には誰もAppleからiPhoneが登場して市場を席巻していることは想像もできなかった。

 Appleは現在は絶好調な業績だが、いつまでもiPhoneの好調が続かないことは理解しているだろう。Appleの資金にゆとりがあるうちに次の製品への種まきが必要である。それが「Apple Watch」だろう。「Apple Watch」の出荷台数と売上高の公開は今期はなかったものの、売上高の「その他製品」から、平均単価が500ドルとして約200~300万台の出荷台数と類推するアナリストが多い。「Apple Watch」がiPhoneと並ぶ収益の柱になるには、もう少し時間がかかりそうだ。