メディア裏通信簿

先生 大物芸人のダウンタウン、松本人志が集団的自衛権や安保法案の賛成を表明したのは、インパクト大きかった。芸能人が政治や社会問題を議論するフジテレビ系ワイドナショーの8月9日放送でしゃべったんだが…。

教授 見ましたよ。松本さんの発言は非常に良かったですね。

先生 法案反対の人について、松本は「ちょっとニュースに誘導されている感じはある」「もし本当にこのままでいいと思っているのであれば、完全に平和ボケですよね」と苦言を呈した。「憲法9条は日本を守ったかも知らんけど、言い方変えたら、なめられてる」とも言ったんだ。その通り!

女史 よく「平和憲法を守る日本は、世界から尊敬される」なんて言う人いるけど、あれウソだよね。自分の国を守る気のない日本人を外国は本音ではなめている、ていうか、バカにされてるよ。

教授 この番組は結構、視聴率いいらしいですから、彼の発言は影響力があるでしょうね。

先生 松本は、以前にも「日本が自立するための法案なら賛成」と発言してたんだよ。番組ゲストの女子高生が、反対デモの若者をどう思うか聞かれて、「クラスにああいう子がいたら、引く」と発言したのも痛快だった。

女史 やっぱヒクよね。(笑)
ABCテレビ「松本家の休日」で道頓堀を周遊するさだ、たむらけんじ、松本人志、宮迫博之(左から)
ABCテレビ「松本家の休日」で道頓堀を周遊するさだ、たむらけんじ、松本人志、宮迫博之(左から)
教授 しかし、松本さんとは裏腹に、大物芸能人が反対発言を始めています。笑福亭鶴瓶さんは東海地方ローカルの東海テレビのドキュメンタリー番組「戦後七十年 樹木希林ドキュメンタリーの旅」の収録で「安保法案には断固反対」と明言したそうです。

女史 中日新聞8月7日付の夕刊記事に出てたね。鶴瓶さんは「違憲と言う人がこれだけ多いのにもかかわらず、なにをしとんねん」「民主主義で決めるんなら、多い方を取るべきですよ。変な解釈して向こうへ行こうとしているんですけど、絶対あかん」と言ったんだって。議会制民主主義だから、国会で多い方をとったら安保法案は成立すべきということになるのにね。鶴瓶さんは昔から左翼的な発言をする人だよー。

先生 9日放送の日本テレビ系の笑点では三遊亭円楽が安倍政権批判だ。鍼灸師に扮し笑わせるお題で「耳が遠くなった気がするので人の声が聞こえるように針をうってもらいたい?」「どこへうっても、国民の声が聞こえないんだと思いますよ、安倍さん」だって。

女史 桂歌丸さんの代わりに司会をしてた三遊亭好楽さんも、座布団2枚あげてたけど、そんなにうまい政治風刺かな?

編集者 円楽さんの風刺はいつも笑えません。松本人志さんの方に座布団を上げたいですね。

女史 松ちゃんは笑点の座布団なんて、いらないよ。(笑)

大物左翼・Tが賛成派に…


先生 フジテレビ系も他番組では、ひどい発言があったな。8月3日の「みんなのニュース」では、礒崎陽輔首相補佐官が集団的自衛権について「法的安定性は関係ない」と発言したことを、江上剛が「辞任を」「傲慢」と批判したが、礒崎発言はそんなに悪くないぞ。集団的自衛権は、憲法と最高裁判例をどう解釈するかという問題で、既存の憲法と判例を変えるわけではない。そこは安定しているわけだから、礒崎も「法的安定性は関係ない」と言ったまでだろ。法解釈の変更が法的安定性を損なうなら、法改正や憲法改正なんか、もっと損なう。明治憲法を改正した日本国憲法は法的安定性の無視だぜ。安倍晋三首相が出演した7月20日の放送も、ひどかった。せっかくフジテレビ会長の日枝久がきちんと安倍総理を出迎えて、そのシーンも流したのに、議論が始まると批判づくし。やくみつるが「裸のそーり」と子供が叫ぶ漫画でけなすし、いくら安倍総理が安保法案を説明しても、司会のアナウンサー伊藤利尋が「なぜ違憲論が大勢なのに進めるのか」。ちっとも聞いてない。

教授 いいコメンテーターも出ていたんですけどねえ…。政治的中立が求められるのが放送局だから、いろんな発言が出るのはやむを得ない部分はあります。この間も同じフジサンケイグループのニッポン放送を聴いていたら、あさ活ニッポンで山口良一さんが反対トークをしていましたが、その後の番組では嘉悦大の高橋洋一氏がきちんと発言していました。

編集者 そんな中、意外にも、安保法案大反対の毎日新聞で大物(?)の左翼言論人が集団的自衛権の行使を認める発言をしました。8月11日付の朝刊1面の連載企画で、田原総一朗氏が「政府の容認した集団的自衛権の行使は、日本の存立危機事態を想定した『新3要件』で厳しく限定されている。従来の専守防衛の枠から出ていないと考えます」「ぎりぎり認められる線です」と述べたのです。

教授 毎日もよく載せたじゃないですか。ただ、もしかしたら、記者が「田原氏だから当然、反対してくれるだろ」と思って話を聞きにいったら、賛成しちゃったので、仕方なく載せたのかもしれませんね。きちんと載せないと、池上彰氏に怒られた朝日新聞みたいになってしまいますから。(笑)

 しかし、田原氏の賛成も当然ですよ。あれだけ妥協して、極めて限定的にしか行使できないようになったのだから、法案をきちんと勉強していれば賛成しますよ。

先生 ただ、田原が「正しい戦争などあり得ない」と発言している部分は承伏できない。ナチス・ドイツのような絶対悪と戦うのも正義ではないというのか。

五木寛之の鋭い分析


教授 マスコミが「日本が戦争を起こしそうな雰囲気」というウソを広げることが問題なのです。例えば、8月11日の朝日新聞デジタル版では元朝日記者の早野透氏が「戦後70年の『いやな感じ』」という記事を書いていますね。

先生 戦争を起こしそうなのは日本ではない。「いやな感じ」というなら、中国の動きに「いやな感じ」を持つべきなんだ。安倍総理も、もっと反論すべきだよ。

教授 政府が安保法案の衆院審議で中国の名前を出さなかったのは失敗でした。首相訪中を視野に入れていたせいでしょうが…。

先生 中央公論9月号で、五木寛之が若手の社会学者、古市憲寿との対談で「『今、戦前の雰囲気だ』ってよく言われるんだけど、ぜんぜん違いますよ。『国益を守るために、中国と一戦まじえろ』『韓国を攻撃せよ』という津波のような民意の高まりが、今の日本にありますか」「国民の間に、そういう高揚、過熱した熱狂がなかったら、戦争なぞできるわけない」と述べていた。さすが五木寛之だ。

教授 しかし、多くの一般女性は「戦争法案だ」「徴兵制になる」といういい加減な報道を信じているんですね。最近は芸能ネタが売り物の女性週刊誌まで安保法制反対の特集を載せています。

編集者 毎日新聞は8月2日付の社説欄「視点」で集団的自衛権合憲論の憲法学者、西修、百地章両先生が「徴兵制も合憲との考えを示す」とウソを書きました。

女史 毎日はその後、お詫びと訂正を出していたね。論説委員まで集団的自衛権=徴兵制と真剣に思い込んでいるのかな?

教授 徴兵制どころか、自衛隊は自衛官募集に力を入れてますよ。コマーシャルに壇蜜さんを起用しました。彼女の発言を聞いていると、ところどころに保守的な考えがうかがえて良いですね。ただ、壇蜜さんのファンはおじさん中心。若い人にどれぐらいアピールするか未知数ですね。(笑)

先生 毎日新聞の7月23日付夕刊に載った「狙われる?貧困層の若者 『経済的徴兵制』への懸念」という記事は、自衛隊の定員割れ、任官辞退に触れて、集団的自衛権の影響で志願者が減っているような印象を与えているが、これもインチキ。自衛隊の定員割れと任官辞退は昔からだ。貧しくて大学にいけない若者が軍や自衛隊に入るのを「経済的徴兵制」と呼んでいるが、冷静に考えたら、これは安保法案とは関係ない教育問題だろ。確かに先進国として、優秀な学生が貧しいから良い大学に行けないのは恥ずかしいし、給付型奨学金の充実で、きちんと行けるようにすべきだけどな。

教授 ただ、日本は大学全体の進学率は高いですけどね。

先生 専門学校で十分な大学がたくさんあって、勉強もしない学生が集まるのは事実だな。

女史 「徴兵制になる」とかアホなウソに本当に欺されてるのかな? ネットでは、スウェーデンやスイスなどの徴兵制の実情をまとめているサイトがあって、冷静な評価があるんだけどなー。

先生 そもそも、なぜ徴兵制を導入してはいけないんだ。安倍首相も、国会で「憲法が禁じる『苦役』にあたる」と説明したが、おかしい。国防という高貴な任務は懲役刑と同じ「苦役」なのか。

教授 あまりに「徴兵制になる」というウソが蔓延しているために、総理は分かり易く否定する必要があったのでしょう。

「非核の傘」ってずぶ濡れじゃない?


編集者 残念ですが、それだけ反戦平和の偽善が広がり、法案反対派が勢いを増してます。

先生 日本人に本来の誇りがあれば、徴兵制は必要ないんだぜ。ベトナム戦争の米国では、多くの大学生が徴兵ではなく志願して戦場に行ったが、それは「みんなが国のために命をかけているのに、自分だけ逃げるのは卑怯だ」と考えたから。だが、いまの日本はどうだ。反対デモの若者は「戦争したくなくてふるえる」と、自分だけ逃げようとしている。70年前の戦争の時、学徒が動員されたのも、そうしないと兵が足りなかったからじゃないか。皮肉な話だが、反戦平和の思想が広がればますます志願する者は減るから、徴兵制の必要は高まるんだよ。

 問題は、国を守る国民の責務が議論されなくなっていることだ。一昔前は「徴兵制導入なら、良心的な兵役拒否を認めるべきだ」と具体的議論までしてたんだぜ。

教授 徴兵制だけではなく、かつては日本の核武装論だって保守論壇で議論されていましたね。

先生 米国の退潮や中国の台頭などで徴兵制や核武装を真剣に議論しなければならない時期になっていることには、国民も気づいているんじゃないか。それなのに、いざその議論を目前に突き付けられると、「徴兵制反対」「核武装反対」というアレルギー反応が出る。矛盾しているよ。我々国民には自国を守る責務があるんだ。それを堂々と正面から論じない政府も自民党もおかしい。

女史 現実を見たくない人が多いんじゃない。日本は米国の核の傘に守られているけど、長崎市の田上富久市長は「『核の傘』から『非核の傘』への転換の検討」を政府に要望したんだって。「非核の傘」って何よ、ズブ濡れってことじゃん。ワケ分かんない。(笑)

教授 日本は自分の国を守るために、法整備をし、防衛力をつけようとしているだけなのに、そのことすらマスコミは批判するのです。子供がいじめられないように体を鍛えていたら、教員から「お前は人を殴ろうとしているのか」と叱られるようなものです。

先生 そういう意味に限れば、反対デモの学生団体SEALDsを「戦争に行きたくないという考えは極端に利己的考え」とツイッターで批判した衆院議員の武藤貴也も、あながち間違いではない。しかしマスコミはそれも叩く。TBS系サンデーモーニング8月9日放送では評論家の高橋源一郎が「ツッコミどころが多すぎ」、毎日の岸井成格が「議員の劣化が進んでいる」と批判したぞ。

女史 自衛官だって死ぬかもしれない戦争にはいきたくないよね。だけど国のために行くんでしょ。自分だけ行きたくないのは、やっぱ「利己的」だよね。

教授 SEALDs自体が純粋に若者の声を代弁しているか疑問です。共産党と関係ないのか、マスコミはほとんど論じません。

女史 ネットの日刊ゲンダイの記事に、SEALDsが共産党系とみられている労働組合「全労連」の街宣車を使っていたという記事が出てたねー。記事で、SEALDsの中心メンバーは「全労連さんから車を借りたのは事実ですが、それはたまたま車が空いていたから」と説明してたけど、全労連の車が空いていたら、SEALDsは借りられちゃうんだー。仲いいんだね。

教授 ネットでは、デモに参加した学生が、就職活動に不利になっているんじゃないかと言われていますね。企業も採用したくないでしょう。

女史 今年1月12日付の朝日新聞社説に、デモの話をしたら、内定取り消しになったという女子学生の話が載ってたけど、ネットでは、SEALDs関係の人じゃないかって話題になってる。ネットで写真や名前を出している子も多いけど、それをチェックしている人たちもいるから、就職活動でバレるのも当たり前だよ。

先生 ホリエモンこと堀江貴文はツイッターで「安保反対デモに行ってる事カミングアウトしたら私は採用しませんよ。仕事出来ないと思うから」「思想で不採用だと言ってるのではなく、間違った理論に盲従する頭悪そうな奴だなって思うだけ」と書き込んだ。よく書いた! 高須克弥も「高須クリニックは安倍政権賛成デモに参加するくらい根性のある若者を採用します」だって。

編集者 ホリエモンはフジサンケイグループの敵です! が、たまには良いことを言いますね…。

初めに安倍談話批判ありき


教授 8月14日に戦後70年で安倍総理が談話を出しましたが、非常によく考えられたものでした。村山談話も含めた歴代内閣の見解を踏襲し、侵略や植民地支配などにも触れましたが、それを日本だけの問題とせずに、人類の教訓として繰り返してはならないことだと言ったのです。日本人の次の世代に「謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」と明言したし、「法の支配」「力の行使ではなく、平和的・外交的に解決すべき」という原則を強調し、しっかり中国にも釘を刺しました。

女史 でも朝日新聞とか左翼マスコミは批判してたよ。

先生 TBS系で翌15日に放送した報道特集は冒頭からキャスターの金平茂紀が「説得力の乏しい戦後70年談話」と批判した。番組は「謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」の部分まで批判したぜ。14日夜のテレビ朝日系報道ステーションでも保阪正康が批判したが、子供たちに「ずっと謝罪し続けろ」と言うに等しいな。

女史 とにかく中韓のいいなりにならなきゃ、どんな談話でも叩くんだね。TBS系では、談話発表直後でまだ中韓の反応も出ないうちから、ニュースのNスタの司会者が「果たして中国や韓国からどのような反発が出るのでしょうか」と、番組を締めくくってたもん。反発してほしいんだよ。

編集者 安倍談話に先駆けて出た有識者懇談会の報告書は「日本が満洲事変後に『侵略』を拡大した」などと書いていましたが、談話は、肝心な部分は報告書にとらわれずうまく外していました。

女史 でも、各新聞は大体、報告書を褒めてたよ。読売新聞は8月7日付朝刊で大々的に礼讃報道して、社説で「過去への反省と謝罪が欠かせぬ」と書いてたもの。

先生 この有識者懇の座長は、西室泰三日本郵政社長だが、この人、過去の会計問題が勃発している東芝の社長や会長を務めていたんじゃなかったっけ。本人が問題に関わっていたかは分からないにしても、いま、そんなにありがたがる人なのかね。(笑)

教授 報告書のまとめで中心的な人物になった座長代理の北岡伸一氏は、この報告書を大々的に褒めた読売グループのメディアに重用されています。この報告書は読売史観なんじゃないですか。こんなに詳しく近現代史を決めつけるようなことを書いて、北岡氏もこの頃、ちょっと調子にのっているのですかね。

先生 韓国が勝手に歴史問題でゴールを動かしているのを批判するゴールポスト論なんかは、委員の宮家邦彦の影響だろ。

編集者 あの部分は的を射た指摘じゃないですか。

教授 しかし、この種の報告書で、あそこまで詳しく書く必要があったのか疑問です。もっとボンヤリとした書き方で、後は安倍総理に判断してもらうようにすべきだったと思います。総理にすれば、ありがた迷惑だったのでは?

女史 具体的に日本の侵略を認めたもんね。脚注には「複数の委員より、『侵略』と言う言葉を使用することに異議がある旨表明があった」とも載せてたけど。

先生 その異議の理由ももっと示さないと、「他国が同様の行為を実施していた中、日本の行為だけを『侵略』と断定することに抵抗がある」とか少し書くだけだと説得力ないぜ。だって、もし侵略が本当で、日本が自分で認めれば、満洲事変はパリ不戦条約後だから重大な国際法違反と言われる。それこそ戦争犯罪にされかねないぞ。

編集者 有識者懇の中では激論があったにもかかわらず、まとめる段階で、結局、ああいう形になったのかもしれません。

先生 何より「侵略」を否定した新聞報道がなかったのは問題だろ。「侵略ではない」という有識者もいるのに、それを紹介しない。朝日や毎日新聞だけならともかく、産経新聞も含めて、歴史事実を勝手に認定するようなことをした有識者懇に何ら批判をしなかった。安倍総理まで、談話を読み上げる前に、報告書を持ち上げた。歴史にはさまざまな見方があるはずなのに、これでは侵略史観が完全に定着したことになるぞ。

編集者 すみません…。

教授 ま、この報告書は政府見解でも何でもありませんからね。菅義偉官房長官も、そう明言しています。

先生 しかし、影響は大きいですよ、教授。テレビも完全に便乗していました。8月9日のTBS系時事放談では、半藤一利が「侵略」と断定し、フジテレビの新報道2001でも、元NHKアナウンサーの下重暁子が「侵略」。他の出演者も流されて、自民党政調会長、稲田朋美ですら反論不足だったぜ。

編集者 自民党三役ですし、問題発言と騒がれると、安保法案の審議に支障を来しますから…。

先生 稲田は月刊正論によく出る。どうせ、編集者はご機嫌をとろうとしてんだろ。

編集者 そういう訳では…。

先生 (笑)ま、いいや。戦後70年は関係ないんだけど、8月3日のNHKニュース7が北海道のフェリー火災を韓国のフェリー「セオル号」事故と比べて報じたのは、NHKにして画期的だったぞ。火災に乗員がきちんと対処していたのに対して、セオル号の船長は乗客そっちのけで逃げ出したよな。それについて韓国人に感想を聞いて、すばらしい日本だ、というコメントを放送していた。

教授 戦後70年間で初めてNHKのトンチの利いた報道だったかもしれませんよ(笑)。戦後特集では、ニューズウィーク日本版の8月11、18日合併号がよかったですね。「謝罪は解決策にならない」という米ダートマス大学のジェニファー・リンド准教授の論考が載りました。残念ながら、米国人の方がレベルが高いのですかね。

女史 ニューズウィークは去年、「しばき隊」とかが反ヘイトスピーチという理由で暴力的なことをしているのもおかしいじゃないかと、批判していたよね。

先生 それに比べてTBS系で8日1、2日に放送したドラマ「レッドクロス」はひどかった。中国共産党の太鼓持ちだよ。軍人が「我々は世界を平和にする中国共産党軍である」というシーンあり、「共産党軍はつねに紳士的な態度で…」というナレーションあり。共産主義の理想を肯定するように、日本人看護婦が「理想が希望に映る」「粛清も一つの方法」と人民裁判まで肯定したぜ。

又吉直樹で売る文藝春秋の劣化


教授 文藝春秋9月号は「父を靖国から分祀してほしい」というタイトルで、A級戦犯として刑死した木村兵太郎陸軍大将の長男と北海道大学准教授の中島岳志氏の対談記事を掲載したのですが、羊頭狗肉も甚だしい。木村大将の長男は「合祀は望外のことと素直にありがたく思いました」と言っていて、新しい追悼施設を造ることにも反対しているのです。ただ、合祀が天皇陛下や首相が公式参拝の妨げになるなら…と分祀の相談に行ったら「難しい」といわれただけなのです。

女史 タイトルは、インタビューを編集した人がつけたんでしょ。木村大将の長男じゃなくて、文藝春秋の編集長が「分祀してほしい」と思ってるんじゃない?

教授 中島氏は「ここで整理しておくと、靖国問題は大きく二つの点をクリアしなければなりません…天皇陛下に静かに参拝していただくための環境を整備すること。もう一つは、諸外国のうち特に中国の理解が得られる戦没者慰霊施設にすること」とも言います。

女史 「整理」するって言ってるけど、「中国の理解が得られる戦没者慰霊施設にする」というのは、ただの中島君の意見じゃん。

教授 中国の理解が得られるようになんかなりませんよ。9月号では、保阪正康氏の「安倍首相 空疎な天皇観」も中身がなかったですね。「空疎」なのは安倍総理の天皇観ではなく、この文章の内容でした。安倍政権が、一昨年の主権回復の日の式典に天皇陛下にお出ましいただいたことなどを「政治的」「脱・歴史」などと非難しているのですが、要は左翼がよくやるお決まりの「天皇の政治利用だ」という批判。国家独立回復の式典に、国のトップが出席されるように取りはからうことのどこが「政治的」なんでしょうか。

編集者 最後には「両陛下の歴史への思いが、安倍首相の政治的意思の前に通用しないとすれば、なんと悲しい時代であろうか」と安倍批判をしますが、保阪氏こそ「両陛下の歴史への思い」を、安倍叩きという自分の政治的目的に利用していますね。

教授 保阪氏は「安倍首相の天皇観は、佐藤栄作、中曽根康弘といった歴代総理に比べると、その深さにおいて違うように思う。彼らは自らの政治信条のために、天皇を利用することは避けていた」と書き、「皇室と距離をとる」ことが日本政治の常識だといいますが、浅薄な結論です。昭和天皇は日本国憲法下でも具体的な政治問題について頻繁に内奏を求められました。つまり佐藤、中曽根政権時代のほうが現在より皇室と政治との距離は近かったのです。こんな論考が目玉記事になるのだから文藝春秋の劣化は著しい。

先生 週刊文春もここのところ劣化の傾向がある。7月16日号のメーン特集「自民党は死んだ」は、ただ政権与党の政策を批判するだけで、雑誌のウリのスクープがなかった。本当に自民党を死なせたいなら、政治家のスキャンダルを載せなきゃ。死んでるのは自民党ではなく文春の方だぜ。

教授 しかし、文藝春秋9月号は芥川賞の又吉直樹さんの「火花」が載っているから売れているそうです。私には、彼の小説は一文一文が変に長くて読みにくいですがね。芥川賞選者の一人、村上龍氏も「長すぎる」「途中から飽きた」と酷評していました。

編集者 でも雑誌は売れてるんでしょ? あ~あ、又吉さんが正論にも書いてくれないかな~。

女史 相変わらず志が低っ!