原発のごみ、日本に埋める場所ありますか?


1.なぜ地下に埋めるのか
THE PAGEより転載)

 日本科学未来館で2015年1月17日に行われた、サイエンティスト・トーク「原発のごみ、日本に埋める場所ありますか? ― 高レベル放射性廃棄物の地層処分」の全文書き起こしをお届けします。

 日本ではこれまで原発を使用してきたことで核のごみである高レベル放射性廃棄物が大量に生まれていますが、その処分の手段を未だ持ち得ていません。本イベントでは地質学者の吉田英一氏を講師にお招きし、日本独自の地質現象を踏まえて、地層処分が可能な場所が日本にあるのかを科学的に見ていきます。

 第1部は「なぜ地下に埋めるのか?」です。動画はページ内のプレイヤーでご覧いただけます(0分0秒~32分45秒)
岩崎:それではこれより、サイエンティスト・トーク「原発のごみ、日本に埋める場所ありますか? ―高レベル放射性廃棄物の地層処分」を進めてまいります。本日は日本科学未来館、そしてこのイベントにようこそお越しくださいました。それから、ニコニコ生放送の中継をご覧の皆さまも、ご視聴ありがとうございます。今日、これから司会進行を務めます、当館の科学コミュニケーターをしております、岩崎と申します。皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

 今日、講師としてお招きしている先生をご紹介いたします。名古屋大学教授で、地質学者でいらっしゃる、吉田英一先生でいらっしゃいます。皆さま、拍手でお迎えください。先生、よろしくお願いします。先生、じゃあ自己紹介をお願いいたします。

吉田:今、紹介にありました吉田といいます。名古屋大学で地質学を専攻といいますか、専門にしております。ここに書いてあるような状況ですが、もう大学からすでに25年ほどこの地層処分に関連するような研究をずっとやってきています。そのなれそめといいますか、そういったものもこのあとちょっと簡単に紹介できたらと思っておりますが。

 今日は、タイトルは非常に堅苦しいことではありますけど、できるだけ皆さんに分かりやすくお話ししたいということと、もう1つは、私は別に推進派でも反対派でもなくてっていいますか、皆さんを今日、説得するために来ているとか、そういうものでもまったくありませんので、できるだけその辺は客観的に皆さんとコミュニケーションできて、で、逆に言うと何が分かって、何が分からないのかが皆さんと共有できれば、皆さんと私のあしたからの研究の題材にも反映できますので、その辺は率直に1時間プラス、議論の時間もありまして1時間半ほどありますが、お付き合いいただければと思っています。よろしくお願いします。

岩崎:先生、ありがとうございました。それでは本日の内容をお示しいたします。本日3つのテーマに分かれておりまして、まず最初に「高レベル放射性廃棄物と地層処分」ということで、なぜ地下に埋めるのかというお話をしていただきます。その後、「地下環境とその機能」。地下っていったいどんなところなの、っていうのがありますので、地下の岩石の放射性元素の吸着や保持といった、地下が持つ機能についてお話しいただきます。そして最後に、「日本には、長期的に安定な地下環境はあるのか?」ということで、ご存じのとおり日本は地震が多く、火山も多いという地質学的な状況がある中で処分場の選定をするための条件としては、いったいどんなことが挙がるのかというところをお話しいただきます。

 で、お話に入る前なんですが、今、皆さん、お話を聞く前の現時点で率直にどのように思っているのかというのをアンケートでお聞きしたいと思っています。こちらにあります。「原発のごみ、日本の地下に埋めることができると思いますか?」。これに対して、今、どのようにお考えかというのを、これから3択で手を挙げてお答えいただきたいと思います。できると思う。できないと思う。今の時点では分からない。この3つのうちのどれかに手を挙げてください。

 お考えはまとまったでしょうか。では、聞いてきますね。できると思う方。ちょっと数えさせていただきます。ありがとうございます。7名、いらっしゃいます。ありがとうございます。では、できないと思う方。ありがとうございます。13。はい。ありがとうございます。今の時点で7名と13名いらっしゃいました。では、分からないという方。一番多いでしょうか。ありがとうございます。12、はい。ありがとうございます。ということで、会場で聞いたところ、あ、ごめんなさい。進んでしまいましたね。はい。

 できると思う方が7名、できないと思う方が13名、分からないとお答えになった方が12名いらっしゃいました。ちなみに、同じ質問今、ニコニコ生中継の皆さまにも聞いているんですが、結果って出ていますか。教えていただいてもいいですか。

未来館スタッフ:はい、こちらからレポートいたします。思うが24%。

岩崎:24%。

未来館スタッフ:はい。思わないが47%、分からないが29%と。だいたい3割が分からないと。5割弱、思わないと。思う方は4分の1というぐらいという感じですね。

岩崎:はい。ありがとうございます。という結果が出ていましたが、のちほど話を聞いていただいたあとで、また同じ質問を皆さまに聞いてみたいと思います。

 それではいよいよお話に入ります。まず、一番初めの「高レベル放射性廃棄物と地層処分 なぜ地下に埋めるのか?」というところで先生にバトンタッチをしてお話をいただきます。先生、よろしくお願いいたします。

吉田:はい。では、話のほうに入りたいと思います。私も、大学で大学院生とか学生にその授業をしていますので、話としてはどちらかというと、あちこち飛んだり、横道にそれたりはするんですが、今日は時間も限られていますので、できるだけそういうことのないように努力したいと思います。

 あと、ここにタイトルをいただきましたが、「日本に埋める場所ありますか?」ということなんですけど、なぜ私がその地層処分のことを25年もっていうか、大学院のときに、名古屋大学で地質学をやって、それでこちらのほうの研究に移ったかっていうことなんですけど。ちょうど私が大学院のときにあった事件が、チェルノブイリの事故でした。その事故のときに、結局そのチェルノブイリは石棺といいますかふたをして、今はそれが地上にずっと残っているという状態で、結局その周辺、半径30キロぐらいでしょうかね、そこは未だに住めないとか、そういう状況が今も続いているのではあるんですけど。そのときに、やはり、すでに放射性廃棄物っていうのはあって、それをどうするのかっていうような研究、あるいはその議論っていうのはもうすでにされていました。

 で、そのときの私の恩師といいますか、先生が、「君、吉田くんね、地質学をやる、なんのためにやるんだろう、よく考えたほうがいいよ」っていうことを、そのときに薫陶をいただいたっていうのを今でも覚えてますが、正直言って私のモチベーションはそこにあります。今、岩崎さんからもちょっとありましたが、日本で地層処分をする。本当にできるんだろうかっていうのを自分で知りたいというのが正直に、そのときから今もこの研究をやっているモチベーションになっています。

 で、極端なことを言うと、私はたまたま地質学をやっていましたが、要は自分でやっぱり判断したい、あるいは自分で何が分かればそれが理解できたと言えるのか、あるいは何が分からないことが問題なんだろうかということを、やっぱり知りたい。あるいはそれを研究して、できれば分かっていることは論文とかそういったものを著して、そして皆さんと共有化していきたい。それがもう1つのモチベーションになっているということです。

 そういう中で今日、話の中身は、全てをお話しすることはできませんが、これまでの研究の内容とか、日本の地層、地質ってどうなっているのかとか、自分がこの25年間、30年間ぐらいかけて分かってきた部分。あるいは私だけではないですけど、私の同僚や共同研究者ともやってきて、分かってきたことをベースにお話をします。なので、それでもし、分からない部分もあるかもしれませんが、そういった部分は質問の時間とかそういうときにお話、あるいは聞いていただければと思います。

岩崎:今日、終了後に10分ほど質疑応答の時間を設けていますので、分からないことがありましたら、ぜひそのときにお聞きください。ではお願いいたします。