児玉克哉(社会貢献推進機構理事長)

 環太平洋連携協定(TPP)交渉が大筋合意しました。これで世界最大の自由貿易圏が誕生することになります。このTPPは歴史的にはやや奇妙な展開をしています。まずは、2006年にシンガポールとブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国間で発効しました。かなり経済的には小国でまとめられたものですが、その後、アメリカ国と日本、オーストラリア、カナダ、メキシコ、ベトナム、ペルー、マレーシアを加えた12カ国の交渉が展開されてきて、今、それがまとめられようとしています。現在の参加国の経済規模は世界の約4割を占めるのですからすごいと言えます。

 ここで注目されるのは、中国と韓国が入っていないこと。途中からはやはり世界の経済大国アメリカが中心になって交渉が始められました。つまりアメリカ中心の自由貿易圏を作るという意図がでてきました。日本は国内での賛否両論がありましたが、結局、このアメリカ中心の自由貿易圏に入ることを決め、現在に至っています。日本にとっては、世界第二の経済大国中国を牽制するという意味もあります。 

 困ったのは韓国でした。韓国はこれまで2国・地域間のFTA締結を中心に自由貿易体制を築いてきました。アメリカともFTAを結んでいますし、中韓は6月に2国間FTAに正式署名し、年内にも発効を控えています。最大の貿易国となった中国への目配りもあり、あえてTPPに入らない選択をとってきたのです。多くの国とFTAを結んでいますから、あまり影響はないだろうという見込みもありました。 

 アメリカと中国との狭間で、中国を選択したともいえます。しかし今、この選択が良かったのかどうか、問われているのです。中国経済が停滞しつつある中、韓国がTPPに入らないと、相対的に日本との輸出競争で不利になるのではないかと危惧する声があがっています。韓国は言うまでもなく、貿易で経済を成り立たせています。中国経済が低迷し、今後の先行きが見えない中、アメリカ市場でも不利な状況ができれば、今でも厳しくなった韓国経済は大きなダメージを受けます。円安ウォン高で、韓国の輸出産業は厳しい状況に追いやられています。サムスンにはかつての勢いはなく、自動車メーカーのヒュンダイは不調が続いています。韓国経済は崖っぷちに追いやられているのですが、TPPが結ばれるとさらなる危機が訪れる可能性があるのです。 

 国内では、今からでもTPPに入るべきだという意見が出ています。しかし、時を逃したということも事実。後から入る国は不利な条件を飲まなければならない可能性が強いのです。また時間もかかるでしょう。

 アメリカと中国の狭間で揺れ動いた韓国。これからも揺れ続けるようです。韓国はどこへ向かうのか。方向性の定まらない状態が続くと、韓国経済はさらに大きなダメージを受けそうです。

 環太平洋連携協定(TPP)交渉が大筋合意しました。これで世界最大の自由貿易圏が誕生することになります。このTPPは歴史的にはやや奇妙な展開をしています。まずは、2006年にシンガポールとブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国間で発効しました。かなり経済的には小国でまとめられたものですが、その後、アメリカ国と日本、オーストラリア、カナダ、メキシコ、ベトナム、ペルー、マレーシアを加えた12カ国の交渉が展開されてきて、今、それがまとめられようとしています。現在の参加国の経済規模は世界の約4割を占めるのですからすごいと言えます。

 ここで注目されるのは、中国と韓国が入っていないこと。途中からはやはり世界の経済大国アメリカが中心になって交渉が始められました。つまりアメリカ中心の自由貿易圏を作るという意図がでてきました。日本は国内での賛否両論がありましたが、結局、このアメリカ中心の自由貿易圏に入ることを決め、現在に至っています。日本にとっては、世界第二の経済大国中国を牽制するという意味もあります。 

 困ったのは韓国でした。韓国はこれまで2国・地域間のFTA締結を中心に自由貿易体制を築いてきました。アメリカともFTAを結んでいますし、中韓は6月に2国間FTAに正式署名し、年内にも発効を控えています。最大の貿易国となった中国への目配りもあり、あえてTPPに入らない選択をとってきたのです。多くの国とFTAを結んでいますから、あまり影響はないだろうという見込みもありました。 

 アメリカと中国との狭間で、中国を選択したともいえます。しかし今、この選択が良かったのかどうか、問われているのです。中国経済が停滞しつつある中、韓国がTPPに入らないと、相対的に日本との輸出競争で不利になるのではないかと危惧する声があがっています。韓国は言うまでもなく、貿易で経済を成り立たせています。中国経済が低迷し、今後の先行きが見えない中、アメリカ市場でも不利な状況ができれば、今でも厳しくなった韓国経済は大きなダメージを受けます。円安ウォン高で、韓国の輸出産業は厳しい状況に追いやられています。サムスンにはかつての勢いはなく、自動車メーカーのヒュンダイは不調が続いています。韓国経済は崖っぷちに追いやられているのですが、TPPが結ばれるとさらなる危機が訪れる可能性があるのです。 

 国内では、今からでもTPPに入るべきだという意見が出ています。しかし、時を逃したということも事実。後から入る国は不利な条件を飲まなければならない可能性が強いのです。また時間もかかるでしょう。 

 アメリカと中国の狭間で揺れ動いた韓国。これからも揺れ続けるようです。韓国はどこへ向かうのか。方向性の定まらない状態が続くと、韓国経済はさらに大きなダメージを受けそうです。