神谷光男(作家)

 世間一般とはかけ離れた“長老支配”による迷走が続く2020年東京五輪が、また変わった話題を提供してくれた。国際オリンピック委員会(IOC)に提案する追加種目候補、5競技18種目のリストを見て、あぜんとした中高年も多かったはずだ。

 野球・ソフトボール、空手は予想通りとはいえスケートボード、サーフィン、スポーツクライミング。カタカナ3競技が何で五輪競技なのか、さっぱり分からない。「五輪は若者の遊びの場じゃないぞ」と憤慨する声もあった。

 「若者のスポーツ離れ」を危惧するIOCの意向に沿うと、こうなるらしい。スケートボード関係者は「まず、選手の服がオシャレで若者人気につながり、動きがハデでライブ感がある」と喜びを語っていたそうだが、五輪はいつからそんな軽薄になったのか。
 選んだ組織委員会の追加種目検討会議のおじさんたちは、3競技を生で見たことがあるのか。まさか「カッコいい」と感化されたわけではないだろう。「若者へのアピール」というなら、若者はもちろん、広い年齢層に愛好されるボウリングはなぜ落ちたのか。選考過程もハッキリしないままで、どんな競技かも知らない大半の人たちにとってはマニア向けの際物にしか見えないだろう。

 新国立競技場が白紙撤回され、パクリ騒動で公式エンブレムまで白紙撤回した。もうこれ以上、IOCの機嫌を損なうことは許されない。組織委員会は最後は候補種目を絞りきれずIOCに丸投げした格好で「仰る通り、若者向けを選びました。ささ、どうぞ」といった感じの“献上品”にも見えてくる。

 問題は来年8月の総会でIOCが5競技すべてを承認するかどうかだ。

 IOCは追加種目の上限について総選手数500人を目安にしている。提案では野球・ソフトのチーム数を8から6に減らすことで、5競技で合計474人で抑えた。「だからといって、5競技すべてOKというわけにはいかないだろう。IOC内部では5競技は多すぎる、という声が早くも出ているらしい」と関係者は懸念する。

 総会では5競技一括で審議するのか、1競技ずつ審議し採決するかも決まっていないという。後者になると「こんな競技は知らないぞ」と反対され落選の恐れも多分にある。「当選だ」と大喜びしたのに来夏、土壇場で落とされた競技団体が出るとしたら、とんだ罪作りになる。

 若者のスポーツ離れ対策に、IOCは14-18歳を対象に10年から4年に1度、五輪と同じくらいの規模でユース五輪を開催している。何も若者に媚びを売って大人の五輪に採用しなくても、こちらの五輪の種目にして思う存分やらせてやればいい話ではないのか。