「金本新監督で大丈夫?」というお尋ねでしたので、お答えします。結論から言って「大丈夫」です!

 では大丈夫な理由を挙げてまいります。

大丈夫1「若い!混セ!」

 コーチ経験もなく、若すぎる、外野手出身監督は大成しない…なんていう、ネガティブな声もありますが、ふと気づけば、セの6球団の監督、とんでもないことになっていました。

 ヤクルト・真中、読売・高橋由、阪神・金本、広島・緒方、中日・谷繁、DeNAラミレス。

 谷繁以外の5人が外野手出身。なんと全員が40歳代で、金本(47)が最年長!もはや指導者経験の差がそれほど影響するとも思えない顔ぶれです。今季も、まるで譲り合うような優勝争いで、「決め手に欠ける」と言われていました。すくなくとも、新人監督・金本知憲だけが不安ということはありません。

大丈夫2「星野仙一の影響」

 金本がお手本にしていそうな監督の1人が星野仙一(現・楽天取締役副会長)です。星野がしていたのと同じように、関西マスコミを巻き込んでどんどん情報を発信して、何かまったく違うことが起きそう!という期待感を作り出しています。

 星野が阪神を優勝させた2003年は、金本のFA移籍があったからこそ。2人は「師弟関係」で結ばれているので、秘密のホットラインでいろいろと相談していそうです。知らんけど。

大丈夫3「気弱からの脱却」

 星野仙一は、負け犬根性をたたき直すために、「オレが先頭に立っている戦闘集団」という雰囲気を演出しました。野球選手というのは、どこか「不良少年」の影を残しているように思います。「お前、どこ中学や?」「喧嘩上等!」みたいなノリですね。で、星野は「ナメんなよ!」と肩で風切って、当時のダメ虎軍団を引っぱっていました。金本もそれをやりそうな感じがプンプンします。これは優等生キャラの和田監督にはできない演出です。

大丈夫4「掛布二軍監督」

 まだ「星野踏襲」の話題が続きます。時の仙一がやったことの一つが「田淵復活」でした。まさかのトレードで喧嘩別れした「ミスタータイガース」に再びタテジマを着せました。星野自身は完全な「外様」だというのに、この出来事と、「藤村富美男&村山実の墓参り」によって、古くからのファンの心を完全に鷲づかみにしました。

 今回は、わかったようなわからんような、ワシントンDCみたいな、「掛布DC」(ディベロップメント・コーディネーター)を二軍監督に就任させました。一部には監督待望論も根強い掛布でしたが、ここできちんと背番号31の付いたタテジマのユニフォームを着せる(今までは、下だけ着用。背番号の着いた上のユニフォームはなく、掛布いわく「黒のカッパ」を着用していました)。
「掛布復活」は、14年前の「田淵復活」と同じようにファンを熱くする出来事でした。

 そして、野球観に共通するところが多いという、金本&掛布ラインで、「強打者を育成する」という方向性を打ち出しています。それもまたファンの期待をめちゃくちゃくすぐるではありませんか。

大丈夫5「社長退任劇」

 まだ星野阪神を引きずります。星野は当時の故・久万オーナーに対して「阪神が弱いのは、あなたの責任だ」と、ズバッと指摘。金を出させて、口は出させない、言うことを聞かせるという「経営者操縦」をやりました。

 今回は、南球団社長が一線を退くことになっているそうです。監督が責任を取って交代しても、球団社長とオーナーはのうのうとしている……現場に漂っていたであろう、そんなやるせない空気を、変えたのではないでしょうか。今のところ知る由もありませんが、これもまた「星野っぽさ」を感じさせるものでした。

大丈夫6「カリスマ」

 星野仙一を離れます。先日のドラフト会議では、「当たりくじ取り違え」という、失態がありましたが、「ビデオ判定で逆転ホームラン」と、笑顔で言った金本に、不手際の運営側も、うっかりさんのヤクルト真中監督も救われました。こういう余裕、懐の深さにカリスマを感じます。
ドラフト1位指名の明大・高山俊外野手の抽選で間違えてガッツポーズをするヤクルト・真中監督(右)とがっかりする阪神・金本監督(左)=10月22日(撮影・荒木孝雄)
大丈夫7「時代を進める」

 現時点で、まだすべてのコーチングスタッフが発表になっていませんが、発表になったところ、あるいは報道では、矢野、片岡、今岡といった「平成黄金期」のメンバーから入閣がありそうだとか。これまで阪神は、1985(昭和60)年の日本一を引きずってきましたが、ついに時計の針を一気に20年進めました。そういう力を持っているといえるでしょう。

大丈夫8「広島イズム」

 「厳しく、明るく」という方針を打ち出し、ハードな練習をしていくことを明言しています。伝統的に阪神には、「練習量が少なく、内容に工夫がない」という悪いイメージがあり、それを消し去ろうということでしょう。

 そのために「練習総責任者兼鬼軍曹(通称:ヘッドコーチ)」に高代を就任させました。金本がルーキーだった年に、広島でその役目だった彼に、「広島イズムの注入」を依頼したのでした。

大丈夫9「超積極的な攻撃」

 今年の弱々しい攻撃から脱却するために、視察した秋季練習で、初球から強く振らせることや、進塁打を求める局面でもヒットを狙うことなどを掲げています。今後は一塁までの全力疾走や、ライト前ヒットで一塁走者が三塁まで進むこと、二塁走者はヒット1本でホームに帰ってくること、そういう「前につんのめった野球」を推進することが予想できます。

大丈夫10「若者の希望」

 ここしばらく、阪神の経営陣と首脳陣は、「ドラフトで獲った有望新人の育て方(平成版)」を開発しようとせず、昭和式に、スターは自分で勝手に出てくる、掛布がそうじゃったわいとばかり、安易な補強を繰り返して来ました。

 金本は、就任早々、陽川尚将、江越大賀、横田慎太郎ら若手の名前を挙げて、「育てる」と明言しました。きっと今、タイガースの若い選手たちは、新しい時代の到来を感じ、希望に満ちていることでしょう。ここしばらくなかったことです。

 ―― ということで、以上「金本新監督が大丈夫な10の理由」でした。やろうと思えばまだ20くらい、不安な点もやろうと思えば10や20挙げられますが、やめておきます。

 ただ一つ、故中村GMの後継者に困っているようであれば、新GMの採用マネジメントと、GM補佐の仕事、私がやります!……と、唐突に立候補して、おしまいにします。ご静聴ありがとうございました!