西村眞悟(次世代の党、前衆院議員)


 二十年以上前のことになる。

 自民党から飛び出した集団と社会党と公明党と民社党がかたまりになって細川内閣がつくられた。

 そして、国防に関して統一した政策を作ろうということになった。

 その中心は、集団的自衛権を行使するか、ということだった。

 その議論をする会のメンバーは、自民党系から岡田氏、公明党から山口氏そして、民社党から私だった。
 
 民社党は、集団的自衛権行使容認で意見がまとまっており、当然に私は、行使するべし、と主張した。公明党の山口氏は、慎重に、慎重に、と言った。

 そして、持ち帰って、持ち帰って、と言った。

 多分、党と支援組織に持ち帰るんだろう。

 岡田氏は、反対だった。

 その時私は、自民党という集団には、社会党みたいな者もいるのかと新たな発見をした。
 
 その会は何回か開かれた後に採決をとり、集団的自衛権行使は否決された。

 否決の結果が出たとき、岡田氏は、「ありがとうございます」と言った。
 
 私は、民社党の同志と共に、我が国の存立を確保するためには、集団的自衛権を行使することが当然だと確信していたので、彼らの延々と続く話にウンザリし、採決の結果にアホラシくなったので、以上の情景をよく覚えている。

 そして、漫談ではないが、あれから~二十年!
 
 やっと、与党内協議で、あれはできる、これはできない、と決まったと思えば、
 
 野党の方の岡田氏が、まだやっとる。つまり、彼は、全力をあげて無能であろうとしている。それで、国会は九月まで延長しなければ決まらないという。

 とはいえ、この責任は、与党にある。無能にとどまっている者にあるのではない。無能な者の前で、延々と、例の慎重に、慎重に、(集団的自衛権の)あれはできる、これはできない、という議論を続けたからだ。
 
 その結果、断固として国防のことを考えない面々に先祖返りの機会を与えた。あの馬鹿馬鹿しい、例のあの面々だ。

 国防は単純明快、いざとなったらやる、これだけだ。
 
 その国防行動発動の決断は、内閣総理大臣たる最高指揮官がする。国民に対して最高の政治的責任を有する者の決断で自衛隊が動く、これがシビリアンコントロールだ。
 
 発動されれば、あとは、現場の指揮官が具体的な状況の中で国防の任務を遂行する。それ故、自衛官は、任官するに当たって、「ことに臨んでは危険を顧みず職務を遂行し、以て国民の負託に応える」と宣誓しているのだ。

 集団的自衛権も、国を守るために行使すべきか否か、いざとなったら、行使するかしないか、二つに一つだ。

 よって、国会は、単純に、集団的自衛権、行使するか否か、二つに一つで採決をしたらいい。
 
 我が国が、それを決められずに、九月まで、あれはできる、これはできないと、国会でちんたらしておれば、ヨダレを流して喜ぶ暴虐な国があることを忘れるな。我が国のシーレーンが通る南シナ海が取り返しのつかないことのなる。

 表題に「ストックフォルム合意」を掲げたのに、何故、集団的自衛権から書き始めたのか。それは両者が、全力をあげて無能であろうとする点で共通しているからだろう。それで、書き込む時間が限られているのに、集団的自衛権についての回顧を書いてしまった。いや、アホは二十年前と同じだから回顧ではない。

家宅捜索後、記者団の取材に応じる朝鮮総連の許宗萬議長=3月26日、東京都杉並区(三尾郁恵撮影)
 拉致被害者救出に関する日朝ストックフォルム合意から一年が経った。一年前に、北朝鮮が、拉致被害者等の調査特別委員会をつくると日本側に約束したのに応じて、我が国は、在日北朝鮮人の日朝往来に関する制裁と送金額に関する制裁を解除した。

 つまり、安倍内閣の、北朝鮮に対する「行動対行動」の原則は、外務省によって、いとも簡単に放棄され、我が国は、「口先対行動」で応じたのだ。

 その結果、外貨が喉から手が出るほど必要な北朝鮮に送金が出来るようになるとともに、朝鮮総連の議長が、久しぶりに安心して北朝鮮に帰国して、意気揚々と日本に再入国した。

 では、北朝鮮が作ると約束した特別調査委員会はどうなったのか。調査結果を我が国に報告しないどころか、調査した形跡もない。

 つまり、何だ、これは。我が国は北朝鮮に騙されたのだ。

 平成十四年九月十七日、小泉総理が平壌に行って金正日との間で「平壌宣言」を行った。冒頭から七割を占めるその宣言の内容は、まず我が国が、村山富市談話と同じ表現で北朝鮮に謝り、次ぎに北朝鮮に対する巨額の請求権を放棄し、巨額の金を支払う約束。残りの三割は、北朝鮮が、日本人の安全について配慮する約束、そして、ミサイルは飛ばさない、核の開発はしないという約束。

 しかし、北朝鮮は、横田めぐみさんらを未だ解放せずに抑留したままで、ミサイルは飛ばし、核実験は実施している。

 つまり、小泉総理一行は、北朝鮮に騙されて帰ってきたのだ。我が国は、平成十四年九月と平成二十六年五月の二度、北朝鮮に騙されている。従って、「平壌宣言」と「ストックフォルム合意」は、我が国が北朝鮮に騙されたことを証明する文書であるに過ぎない。

 諸兄姉は、「おれおれ詐欺」で、お年寄りが簡単に騙されて巨額の金を送金するのを知っているだろう。しかし、簡単に騙されるのはお年寄りだけではない。外務省が、騙されることを業績としている。外務省は騙されたことを認めずに繰り返し騙される。業績だから仕方がないと見逃すなかれ。その騙された代償は、国民が払っている。拉致被害者と家族が払っている。
 
 何故、実務を担った外務省は、未だに騙されたことを認めないのか。それは、外務省の目的が、拉致被害者の解放ではなく、日朝国交樹立にあるからだ。従って、外務省は、拉致被害者の存在は、日朝友好関係の「障害」であると位置付けて、その「障害」を除去する為にならば、相手の嘘、例えば、平成十四年の「八人死亡」にも平気で乗るのだ。

 そもそも、我が国の国家主権を蹂躙して十三歳の横田めぐみさんをはじめ多くの我らの同胞を拉致した「犯人」と、このような外交交渉を進めるとが妥当なのか。従って、私は、拉致被害者の救出を目指す対北朝鮮交渉においては、外務省を外して、大阪府警と警視庁の、犯罪捜査の辣腕刑事および暴力団対策の凄腕刑事を交渉担当者として派遣するように主張してきた。
 
 これら刑事と外務省とは、発想が全く違う。そもそも、犯人が、一年前のストックフォルムのように、「私が何をしたのか、特別に調査して報告します」と言ったとする。
 
 外務省なら、それを「誠意を示したもの」と受け取って、そうですかよろしくお願いしますと応じる。しかし、刑事は、次のように言う。「馬鹿野郎、なめるなよ、お前のやったことは、お見通しだ。被害者を解放しなければ破滅させるぞ」

 この何れが、拉致被害者救出につながるか、明らかではないか。

 事実、事態は、外務省ではなく警察によって動き始めた。それは、前回書いたように、マツタケ不正輸入に関する京都府警による朝鮮総連議長宅の捜索と息子の逮捕である。警察は、疑惑の徹底究明のために、朝鮮総連本部の捜索と議長の逮捕に進んでもらいたい。同時に、政府は、対北朝鮮制裁を一層強化するべきである。