反日感情を醸成する神殿


 私は現地でさまざまな背景をもつ人たちに日本人、韓国人、中国人、その他についてどう思うのか聞いてみた。聞いた相手にはインド系もいれば、中国系、マレー系、バングラデシュ系の人もいた。答えは予想どおりだった。

好きでない人一覧:韓国人、中華人民共和国の中国人(台湾ほかを除く)、インド人、アラブ人

好きな人たち:日本人、欧州人、アメリカ人。私は多くの国々で多くの人たちに聞いてきたが、答えがそれほど異なることはない。

 アジア全体で日本人は憎まれているという話は虚構である。日本はアジアのなかで最も大きな敬意を集める国の1つである。

 われわれはペナン戦争記念館を訪れた。「記念館」とは甘い用語である。この場所は、紛れもなく反日感情を醸成する神殿である。
カミカゼ「自殺用ベスト」
カミカゼ「自殺用ベスト」
 ここは幽霊屋敷の様相を見せており、ペイントボールコースの顔も見せている。ブキト・ハントゥ「亡霊の丘」は、アジアで最も亡霊が姿を見せることが多い10カ所の1つとされている。

 この幽霊屋敷には、木の上にいる巨大な恐ろしい化け物と、不気味な物語と、その他もろもろが揃っている。

 ここには、リトルボーイにもファットマンにも似ていない実物大の原爆がある。巨大な手榴弾があり、その他諸々があり、現代のDVDプレイヤーから取り出した回路基板を貼り付けたカミカゼパイロットの自殺用ベストも揃っている。

 この「自殺用ベスト」の上に掲げられている説明文によると、カミカゼは1941年12月10日にプリンス・オブ・ウェールズとレパルスを破壊したという。真実は、英国艦隊は日本軍の通常の空襲によって破壊されたのであり、カミカゼによるものではない。

 そしてカミカゼ「特別攻撃隊」は、戦争が終局に近づく1944年まで決行されることはなかった。

 この博物館は同じくらいの力を注いで、日本軍が性奴隷を連行したという虚構の主張を繰り出している。誰か日本人がこの構図に対して立ち上がり、「すべてウソだ」と主張すれば、右翼の歴史修正主義者、好戦的国家主義者、あるいは単純な変人のレッテルを貼られることになる。

 ベトナムを訪問して戦争博物館を見学するアメリカ人たちは――私もそうだったが――米軍およびアメリカ合衆国がここでどう描かれているかを見て衝撃を受け、悲嘆にくれ、怒りさえ覚える。一方で日本人はこういった日本についての虚構――真っ赤なウソばかりではないか――に対し同じような感情を覚えるわけだが、そうした日本人は歴史修正主義者と呼ばれてしまうのだ。

 博物館長のジョハリ・シャフィエ氏は、「9月に北京で開催された学術会議に招待された」とわれわれに誇らしげに語った。北京で彼が招かれたのは「国際第2次大戦記念館協会」だという。そこの日程に含まれていたのは、「中国人民対日本侵略軍抵抗記念博物館、マルコ・ポーロ橋(盧溝橋)」訪問だったという。
北京にある中国の情報作戦機関の訪問者名簿
北京にある中国の情報作戦機関の訪問者名簿
 シャフィエ氏は口を極めて「日本人はペナンの女性を強姦し、性奴隷にした」と罵った。

 シャフィエ氏は売春婦の重みで傾きそうな島、2015年のいまも性奴隷がそこかしこにいるペナンの島で、DVDプレイヤーの回路基板を用いたカミカゼ「自殺用ベスト」を展示する男である。

 マレーシア全体、そのなかでもペナンは現在進行形の人身売買で悪名高いが、彼が非難するのは日本ばかりだ。私は自分の目でそれを目撃した。

 中国は、この情報戦を今後の対日本の熱い戦争の前哨戦として利用している。立ち上がるべき時はいまだ。日本は積極的に、中国がばらまく憎悪に対処すべく真実を広めるキャンペーンに投資するべきだ。

マイケル・ヨン ジャーナリスト。1964年生まれ。グリーンベレーを経て90年代後半よりジャーナリストとして活動。アフガニスタンやイラクなど戦地の最前線を取材し、イスラム過激派組織と戦うアメリカ軍の活動を至近距離から伝え、注目を集める。近年は「慰安婦」問題でアジア全域の調査を行なう。著書“Moment of Truth in Iraq”は全米でベストセラーに。