小笠原誠治(経済コラムニスト)

 公明党が軽減税率を導入しようとしていることはご承知のとおりです。

 では、何故公明党は軽減税率に拘るのか?

 貧しい人の負担を減らしたいからなのか?

 まあ、それも理由の一つではあるでしょう。

 しかし、消費税の逆進性を今更問題視するのであれば、そもそも消費税の増税に反対すべきだったのです。

 違いますか?

 百歩譲って、どうしても軽減税率を導入したいというのであれば、それならそれで欧州並みにインボイス制度を同時に導入しなければおかしい。

 しかし、インボイス制度は導入したくないと言う。

 こういうのを我儘と言うのです。

 問題はまだあります。公明党は軽減税率を幅広い品目に適用しようとしています。

 新聞もその一つです。

 では、何故新聞に軽減税率を適用すべきだと言うのでしょうか?

 どうして?
 新聞社は、新聞は民主主義の礎だ、なんて格好のいいことを言っていますが、本当の理由は何?

 答えは、新聞社の経営を助けるためなのです。もっと言えば、新聞社が負担する消費税分を軽くするためです。

 私が、「新聞社が負担する消費税分を軽くする」なんて言うと、おかしなことを言っていると思う人がいるかもしれません。というのも、消費税を負担するのは消費者であって、生産者である新聞社が消費税を負担することはあり得ない、というのが「常識」だからです。

 確かに法律論的には、消費税を負担しているのは消費者であり、生産者がそれを負担することありません。

 しかし、経済学的に考えると、それは事実ではないのです。

 何故だかお分かりでしょうか?

 例えば、100円のある商品があって、それに10%の消費税がある日かかったと仮定しましょう。

 そうなると多分、その100円の商品は消費税込みで110円で売りに出されることになるでしょう。しかし、消費者が、「価格が110円に上がるのであれば…、否、少しでも値上げされるのなら、もう買わない」と言い出したらどうなるでしょう?

 そうなると、税抜きで100円だった商品を91円に値下げして、そして税込みで100円として売るしかなくなるでしょう。

 消費者としては、税金が幾らかかっているかも気になるのですが…もっと大切なことは税込みで幾らかということなのです。そして、また、幾ら消費税がかかっても、価格が元のままであれば、新たな負担を負うことはないのです。

 もちろん、その場合も、法律論的には91円の商品に対する9円の消費税を負担しているのは消費者であり、生産者ではありません。でも、消費税が増税になることによって生産者の取り分が9円減った訳ですから、実質的には生産者が消費税分を全額負担したことになるのです。

 ということで、消費税増税に伴う値上げによって消費者と生産者がどのように反応するかで…つまり、幾らの値上げになるかで、消費者と生産者の負担割合が決まるのです。