常見陽平(千葉商科大学 国際教養学部専任講師)

 11月10日、私は出張先の沖縄県にて、講演会の控室で大きくため息をついた。私が仕掛けた言葉「意識高い系」は、今年も「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされなかった。やれやれだ。2012年の暮れに『意識高い系という病』(ベストセラーズ)という本を発表したのだが、今年になってからドラマで取り上げられたり、雑誌で特集が組まれたりして「これはイケる!」と思っていたのだが。

 自分が関わった言葉がこの賞にノミネートされるのは、誇らしいことである。私は元会社員なのだが、最初の勤務先リクルート時代は「就職氷河期」という言葉が1994年の第11回新語・流行語大賞(当時はまだユーキャンの冠がついていなかった)で審査員特選造語賞を受賞したことは語り継がれていた。私が同社に在籍していた頃の広報の責任者は「編集長たちにはみんな、流行語大賞をとる勢いで仕事をしろと叱咤激励している」という話をしていた。

 2015年度の「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされた言葉について、政治に関連する言葉が多いことが話題となった。候補語50語のうち半数程度が政治関連の言葉だった。「自民党、感じ悪いよね」「とりま、廃案」「戦争法案」「アベ政治を許さない」「早く質問しろよ」「I am not ABE」「SEALDs」などである。この問題について考えてみよう。

 まずは事実確認をしてみよう。「ユーキャン新語・流行語大賞」のサイトには、2007年度から現在までのノミネート語とトップテン入りした言葉、さらに大賞受賞語が掲載されている(それ以前の年度はノミネート語がアップされていない)。政治関連のノミネート状況を見てみよう。なお、どこまでが政治関連の言葉なのか判断に迷う部分があると思うが、あくまで私の判断であることをお含みおき頂きたい。政治家の名言・迷言・失言・暴言、政策なども含めている。
 2012年からノミネート語が10減っていることも考慮しなくてはならないが、たしかに、2015年のノミネート状況は突出している。もっとも、政権交代があった2009年や、第一次安倍政権における首相の辞任や宮崎県知事に東国原氏が就任した2007年など、政治に関するトピックスが多い年は絶対数も多く、割合も高いということがわかる。ただ、2015年は突出していることは間違いない。