ふくよかな体に肌色のパンツ一丁の姿、コミカルな音楽にのって全裸に見える際どいポーズを決め、「安心してください、穿いてますよ」で和ませる、とにかく明るい安村(33才)のネタ。今年の流行語大賞にノミネートされるなど大人気だ。このネタ中に、効果的に使われているのが音楽だ。テンポのいいリズムがネタをより面白くしている。いったいどんな経緯で、この曲が生まれたのか?『とにかく明るい安村全裸に見えるポーズソング』を手掛けた作曲家・藤井りょうはん氏(41才)に直撃した。

――安村さんの曲を手掛けた経緯を教えてください。

「安心して下さい、穿いてますよ」がトップテン入り。
壇上で全裸?を披露するとにかく明るい安村=12
月1日午後、東京都千代田区の帝国ホテル(撮影・
大橋純人)
藤井:ヤス(安村のこと)がコンビのアームストロングを解散してピン芸人になったあと、全裸に見えるポーズのネタを、ぼくに持ってきたんです。テレビでも言っていますけど、まゆゆ(AKB48)の写真集を見て思いついたと。それで「仕事や生活の動作で、パンツ1枚で全裸に見えるポーズをネタにしたいんだけど、それに音をつけてほしい」って。

 最初ぼくはピンとこなくて。実際にやってもらって、納得したんです。すぐに2人で、ぼくの家にある作業部屋に行って、その場で一緒に作り上げたんです。コンピューターで打ち込みながら。

――仕上がるまでの時間は、どれくらいでしたか?

藤井:ひらめくまでは5、6分くらいなんですけど、バランスとか計算して、最終的には3日くらいかかりました。「カモン」からのシンキングタイムのリズムは、コミカルな感じと現代っぽいエレクトロを使いたい。でも耳に残るような感じにしたいなと思ったときに、シンプルが一番だろうねと。それでシンセサイザーの今の音に行きついたんです。

――悩んだところはありますか?

藤井:最後の決めの「ヘイ!」は、最後は締まる感じがいいよねって。パンツが隠れた時に決めた感じがいいと、最初はシンバルとかの音だったんですけど、なにか締まらないなとなった時に、言葉にしようって。

 それでアメリカなどの方々にも分かり易いように狙って、2人で、「ナイス!」「イエス!」「オウ!」とか言って(笑い)。でもしっくりこなかった。でもヤスがライブをすぐやりたいと言っていたので、ベタなんだけど、「ヘイ!」という声を、とりあえず繋ぎとして入れたんです。

 そうしたらライブで好評だったらしくて、それで浸透していって、そのままになったんです。本当は仮の音だから、もっとこだわろうと思っていたんですけど(笑い)。

――二人三脚で作り上げたんですね。

藤井:そうです。だからヤスのネタは、ぼくの大切な曲です。もちろんヤスのアイディアが一番ですけど、ぼくもアシストできたのは光栄です。ただ注文されただけじゃなくて、ばかばかしい、くだらなさも考えながら、アーティスティックな感じで作り上げたんです。

 本当はもっと長かったんですけど、短い方がいいんじゃないかとか。番組のディレクターが、「安心してください」が一番、面白くて腹が立つんじゃないかって、作りながら決まりました(笑い)。

 その言葉も、初めはスギちゃんみたいに、ワイルド系で言っていたんです。でも、もっと謙虚な感じの言葉にした方がいいって。スギちゃんとか秋山さん(ロバート)にかぶらないようにと考えましたね。芸人さんだと、小島よしおさんは天才的な音楽ですよ。

――お笑いのリズムネタも聞くんですか?

藤井:聞きます。ぼくは短い尺で完結するものを得意としているので。だから芸人さんのバックサウンドなどは自信があります。清人(バッドボーイズ)のピンライブの音楽とかナレーションとか、よくうちで録るんです。ぼくが自宅でパッケージにするから、スタジオ代もかからなくて(笑い)。

――安村さんと仲良しなんですね。そもそもの出会いは?

藤井:家族ぐるみの付き合いなんですよ。奥さんと子供だけでもよく来ます。そもそもは、『オロナミンCキモチスイッチCMバトル』で音楽を担当させていただいたときに、アームストロング時代のヤスに出会ったんです。

 アームストロングは当時、あまり有名じゃなかったんですけど、ぼくと演出の人間とアームストロングでCMを作って、それで優勝したんです。アームストロングは優勝賞金200万円を受け取って、その賞金の一部をぼくにくれたんです。ヤスと相方の栗(山)ちゃんで15万円ずつ、計30万円くれて。義理堅いですよね。それが2007年で、10年近い関係ですね。

――安村さんとのジョイントは、今後もありますか?

藤井:実はヤスと、“球児”というバンドをする予定です。あいつは甲子園に出場している高校球児だったので。プロ野球選手を夢見て、今は叶わなくてサラリーマンや家業を継いだ人、学生時代に球児として頑張っていた人たちに対してアピールできるような、青春ソングになる予定です。

 ギターとボーカルはヤス、ぼくはギターとプロデュース。4人グループにしようかなと思っていますが、まだ2人しか決まっていないんです。ヤスはずっとバンドをやりたいと言っていて、ギターがうまいんですよ。リズム感もあるし、声も張るし、感情豊かな声を出せるんですよね。面白いバンドができるんじゃないかなって。

 あと2人のうち、ベースは心当たりがあるので、ドラムを募集中です。音楽的な技術より、優しくてハートがある人。ぜひ、ぼくのtwitterまでご連絡ください(笑い)。

【藤井りょうはん】
1974年8月28日生まれ。秋田県出身。作曲家、レコーディングミキサー。ABSC名義で『コレクション』などのシングルをリリース。『リンカーン』(TBS系)発の『どんだけぇ~の歌』(やす子&フジモン&新宿2丁目オールスターズ)の作詞作曲を手掛けるなど、主にバラエティー番組で活躍。乾布摩擦の動きと、安村の全裸ポーズが融合した『とにかく明るい乾布摩擦レッツダンス』を、YouTubeにて12月頃配信予定。

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