改めて指摘するまでもないことだが、持ち株会社の日本郵政の傘下には、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、日本郵便の3社があり、トータルで4社体制が敷かれている。もっともこれは郵政民営化法が改正されたことを受けてとられた措置で、改正前は日本郵便は、もっぱら郵便事業を扱う会社と郵便局を運営する会社の2社に分かれており、5社体制がとられていた。

 そもそも郵政事業は、「郵政三事業」と称され、郵便局という一つの器の中で、銀行ビジネス、保険ビジネス、物流ビジネスという性格の異なった三事業が同時に営まれていた。

 だとすると法改正前の「五社体制」の方が、あるべき姿であるかのように見える。にもかかわらずなぜ、わざわざ法改正までして「四社体制」にシフトさせる必要があったのだろうか。

 その理由は他でもない。郵便事業が完全な赤字ビジネスで、将来的にも黒字化のメドがまったく立たないからに他ならない。

 日本郵便グループの2015年3月期の業績においては、4826億円の連結純利益を計上しているのだが、そのうち76%がゆうちょ銀行が稼ぎ出したものなのだ。その一方で日本郵便の利益シェアは、たったの3%にすぎない。しかもそれだって、郵便局窓口で郵貯や簡保を取り扱った際に得られるフィー(ゆうちょ銀行とかんぽ生命から支払われる)によって支えられているにすぎない。

 そもそも郵便事業単体で見ると、100億円強の赤字を計上しているのが実情だ。つまり郵政グループの郵便事業は、郵貯事業と簡保事業によって支えられているのは明白だ。それゆえに「五社体制」では、何かと不都合だったことになる。

 このことからも明らかなように、前述した「ブラックホール」とは、この郵便事業のことに他ならない。

 とは言え日本郵政グループにとって、この郵便事業はまさに自らのレゾンデートルに他ならず、万が一にもこの分野から撤退するなんてことはあり得ない。

 しかもこの郵便事業については、今後本格化していくことが確実な人口減少化を考えると、ほとんど上り目は無いはずだ。赤字幅の拡大は避けられそうにないと見ていいだろう。

 そして日本郵便会社の赤字転落を回避させるためには、ゆうちょ銀行とかんぽ生命が支払うフィーを値上げする以外に方法は無いはずだ。

 そうなるとゆうちょ銀行とかんぽ生命の企業価値が下がることになるのは必至だろう。当然のことながら、株主やマーケットから批判の声があがってくることになろう。

 だからと言って日本郵便会社を赤字のままにしておくと、そのネガティブな影響は、持ち株会社の日本郵政に間違いなく及んでくることになる。

 今後の注目ポイントは、果たして日本郵便会社が赤字に転落するか否かだ。

 成長戦略どころの話ではない。早急に郵便事業を黒字化させるべく策を講じなければ、日本郵政グループは早晩、マーケットから見放されることになるだろう。