荻原博子(経済ジャーナリスト)

 9月の経済財政諮問会議で、安倍首相が、携帯電話の料金が高いので見直しを通信業界に求めました。この突然の発言に、安保関連法案で下げた支持率を、個人が頻繁に使う携帯電話の料金を下げることで回復しようとしたのではないかというような指摘もありました。

 政府としては、携帯電話料金を下げることで家計に余裕を持たせ、そのぶん消費を活発化させたい狙いがあるとのことですが、これで消費は活性化するのでしょうか。

 給料が上がらない中で物価が上がり、増税で家計は苦しくなっています。ですから、携帯電話料金を下げたぶんは消費にはまわらず、貯蓄や借金返済に使われることでしょう。そうなると、値段を下げたぶんデフレを促進することになるので、インフレにしたい日銀の思惑に、政府が水を指すという、皮肉な結果になりそうです。

 ただ、どんな思惑があるにせよ、庶民にとっては、携帯電話代が下がることはうれしいことです。
 実際、デフレでモノの価格が下がり続けているのに、携帯電話の料金だけは上がり続けています。総務省によれば、固定電話の料金は、平成19年には平均3万5640円でしたが徐々に減って平成25年には平均2万9354円になっています。いっぽう、携帯電話の料金は、平成19年に平均7万3992円だったのに平成25年には平均8万3099円と年間1万円以上も増加しています。(http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/html/nc255340.html
 ですから、少しでも早く下げて欲しいものです。

 値下げについては、年内には安くする方向性が示される可能性があります。検討されているのは、従来型の携帯に比べて料金が高いスマートフォンに、使い方によって様々な料金プランを導入すること。また、大手3社よりも安い格安スマホを普及させること。さらには、端末の価格と通信料金を分離させることで料金体系をわかりやすく、利用者が選びやすくすることなどが話し合われていくこと。

 端末を買い替えた時に、2年間は解約すると高い解約料を取られる「2年縛り」なども、見直される可能性があります。