日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の郵政関連3社が、11月4日にいよいよ株式を上場する。親子同時上場で、資金調達額が1兆数千億円に及ぶ大型上場。株式市場としては大イベントだ。

 投資家としては、これら3社を買うべきか否か。

 株式投資の原則論から結論をあっさり言ってしまえば、「買うべきではない」。様子を見て、株価が十分安いと思える水準に来てから買うのが正解だ。

 上場時は不確実性が大きいし株価形成が安定しない。経験的には、リスクが大きい割にリターンは小さい傾向がある。

 また、注目を集めている銘柄について、売りか買いかいずれかをどうしても決めなければならないという精神状態は株式投資に向いていない。郵政3社以外に上場銘柄はたくさんあるのだから、自分のペースで調べ、納得した銘柄に好きなタイミングで投資すればいい。

 一方、機関投資家のファンドマネジャーにとっては、ベンチマーク(TOPIXなど運用成績の比較対象になる株価指数)との競争の関係上、そこそこの比率で持たないのはリスキーだ。他の株を売って資金を作ってでも少々は買うだろう。

 大型の上場で思い出すのは、何と言っても1987年2月に売り出されたNTTだ。当時は、バブルの真っ最中で初回の上場後に株価が急騰したことを印象的に覚えておられる個人投資家もいることだろう。しかし、筆者個人にとって、もっと印象的だったのは2回目の売り出しだった。

 当時筆者が勤めていた某機関投資家では有価証券運用部の部長氏が「NTTは国策による売り出しだから、絶対に損をしない銘柄だ」と言って、民間の筆頭株主になるくらいの株数を買ったのだが、NTT株は売り出し後から軟調で、その後二十数年経っても、あの株価には到底届かない。

 郵政3社に関しても、「国策」とか「絶対」という言葉が聞こえてくるかもしれないが、相場に絶対はないし、株価は国が思うようにコントロールできる対象ではない。

 株式の売却代金は震災復興の財源とされているが、お金に色は着いていないので、投資家は復興と関連付けて考えない方がいい。復興は株価に関係なく進めるべきだ。

 現在の郵政3社はそれぞれに国策企業としての非効率性を抱える。配当利回りは高めだが、仮条件の上限に近い株価となる場合、PER(株価収益率)は現在の市場平均並みの15倍から16倍くらいで、割安感はない。

 しかし、現在、経営上明らかな非効率性を抱えているとすれば、将来、これを改善するだけで業績もイメージも改善することができるので、投資対象として魅力的な物になる可能性はある。

 気長に眺めて、魅力的な株価があれば買ってみるという方針がいい。 (経済評論家・山崎元)