川手恭輔(コンセプトデザイン・サイエンティスト)

 総務省は、昨年の10月31日に「モバイル創生プラン」を公表した。次の3点を挙げて、モバイルが「我が国創生の切り札の一つ」だとした。

 (1)現在、スマートフォンなど携帯電話は国民生活に必要不可欠なサービスとなるまでに普及。

 (2)今後、スマートフォンのみならず、ウェアラブル端末、M2M、IoTなど、モバイルは経済社会活動全体に広く浸透。

 (3)そのため、もっと自由に、もっと身近で、もっと速く、もっと便利に、モバイルを利用できる環境整備が重要。
 市場支配的事業者への規制の一部緩和による多様な業種とのコラボレーション、新事業の創出のための環境整備が必要だとし、可能なものからスピード感を持って実行して「国民負担(通信費)軽減」と「モバイルによる我が国創生」とを目指すという。「モバイルによる我が国創生」とは、②に書かれているように、モノのインターネット(IoT)によって、これまでになかった価値を人々に提供する産業を創出することを意味している。

 しかし、これまでのモバイル通信サービスは、携帯電話やスマートフォンを使って、動画や音楽やゲームなどのデータ量が非常に大きいコンテンツを利用したり、人と人とが頻繁にコミュニケーションすることを前提にして、内容(プラン)とその価格が決められてきた。通信するデータ量が小さく、そのスピードも遅くて構わない場合が多いモノのインターネットに、それを適用することには無理がある。

 日本では、このモノのインターネットのためのモバイル通信サービスへの対応が遅れている。このままでは、グローバルなスマホエコノミーで存在感を失ってしまった日本の製造業が、ここでも大きく遅れをとってしまう。