原田謙介(NPO法人・YouthCreate代表)

 来年夏の参議院選挙から、ほぼ間違いなく選挙権年齢が18歳以上に引き下げられます。

 私はこの変化を「18歳選挙権“時代”」の到来だと発信しています。選挙権年齢が70年ぶりに変わるということ、それ自体がもちろん大きな変化です。しかし、私は法律的な変化にとどまらず、「若者と政治」あるいは「若者と社会」の関係が大きく変わり、新たな時代に突入したのだと言えるぐらいの動きを作っていく必要があると感じています。そのような理由から「18歳選挙権“時代”」という言葉を使っています。

 参議院選挙までまだ半年以上ありますが、各政党・立候補予定者はもちろんのこと、政治に関わる人は選挙に向けた動きを色々と始めています。本稿では、政治への関心が高い人ができる、政治への関心が低い人を巻き込む政治的主張の方法について考えてみたいと思います。

 流行語大賞にも選ばれた「SEALDs」。安全保障関連法案への反対を訴えて学生が集い、国会前の集会をはじめとした様々な動きを行い注目を浴びたことは皆さんの記憶に新しいと思います。彼らの想いと反対に安全保障関連法案は賛成多数で成立しましたが、彼らは他の団体など共に、参議院選挙に向けて「落選運動」を始めているようです。落選運動とは、簡単に言えば、自分たちの主義主張とは合わない議員の当選を阻むための行為の総称です。つまり、SEALDsは安全保障関連法案に賛成の立場をとった参議院議員で、来夏改選を迎える人が選挙で当選しないことを目標としているといえます。ですから法案への賛否や、実際の目標を達成するための効力などではなく、冒頭にも書いた“政治への関心が低い人を巻き込む”という視点からみれば落選運動の効果は薄いと考えます。

 最大の理由は、一般の人からすれば選挙という決定の機会は遠い先のことだということです。ゴールを選挙の結果に絞り、今から運動を展開することは実感がわきません。安保法案の審議中、国会前の集会に多くの注目が集まったのは、今まさに行われている決定のプロセスに影響を与えるという行動であったからです。しかし、決定のプロセスである選挙の開始は半年以上も先のことであるにも関わらず、すでに選挙を意識しなければならないということはかなり難しいことです。加えて、「安保関連法案はダメな法案で、その法案に賛同した議員を当選させない」という確立した主張以外の考えが入る隙間がないことも、人の巻き込みを更に難しくしています。

 つまり「安保関連法案への反対」と「議員を落選させること」、この2つに同意することが運動への参加の要件となるわけです。法案に関心はあったが、結局自分自身の考え方を決めきれずもやもやしていた人や、そもそも安保関連法案の議論を自分事として捉えていなかった人は、これまでの国会前での集会の際に求められていた「安保関連法案への反対」に加え、「議員を落選させること」という大きな決定をしなければなりません。以上のようにかなり先の決定のプロセスに関して、すでに終わった決定のプロセスに基づいた一つの主張を持たなければ参加できないという運動への参加の難しさがあるのです。