五十嵐仁(元法政大大原社会問題研究所教授)

 戦争法廃止に向けて、「民共合作」が動き出しました。民主党と共産党の党首会談が開かれ、来る参院選での協力も視野に入れながら、引き続き協議することが合意されています。

 この協議を成功させ、参院選での選挙協力を具体化させることが必要です。それは戦争法を廃止させるだけでなく、安倍政権の暴走をストップさせ、満身創痍に陥った日本を救う唯一の道なのですから……。

 しかし、このような協力が具体化したとしても、果たして参院選で与野党逆転を実現させることが可能でしょうか。その可能性は十分あると、私は思っています。

 もちろん、選挙協力の内容や選挙をめぐる情勢がどうなるかは分かりません。今から予断を持たせることも、楽観論を振りまくことも避ける必要があります。

 とはいえ、全く可能性がないというのでは頑張る気持ちも出てこないでしょう。条件が整えば大きな成果を上げることができるというのであれば、その条件を整えるために力を尽くそうという気にもなろうというものです。

 来年の参院選については、すでに7月30日付のブログ「来年の参院選が楽しみだ」http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2015-07-30で書いたことがあります。

 そこでは、「第1に、選挙区の定数が変わり……、結果的には自民党にとって不利に、他の政党にとっては有利な形で選挙区の再編がなされ」たこと、「第2に、選挙権が拡大され、18歳以上とな」ったこと、「第3に、国民の政治的覚醒が格段に高ま」ったこと、「第4に、政党支持構造の地殻変動が始まり、政党支持率にも変化が生じ」たこと、「第5に、この間の『戦争法案』反対運動の中で野党間の連携が強まり……、このような経験を生かして、参院選の1人区などでの選挙協力の可能性が出てき」たことなどを指摘し、「これらの変化は、来年の参院選で与党に不利に、野党に有利に働くにちがいありません。安倍政権の暴走を阻止し、政権打倒にまで追い込んでいく運動が、とりもなおさず参院選に向けての準備になっている、それも野党勝利に向けての準備に、という関係が強まっているのではないでしょうか」と指摘しました。

 「というわけで、来年の参院選が楽しみです」というのが、この時の私の結論でした。

 基本的に、今もこれを修正する必要はありません。ただし、内閣支持率は下がり続けていますが、「政党支持構造」については「地殻変動」というほどの大きな変化が生まれているとは言えないでしょう。

 しかし、最後の「野党間の連携」については、大きな進展がありました。「戦争法廃止の国民連合政府」樹立という共産党の提唱をきっかけに具体的な協議が始まったからです。
会談に臨む民主党の岡田克也代表(右)と共産党の志位和夫委員長=9月25日午後、国会内(酒巻俊介撮影)
 「この点では、沖縄での衆院選小選挙区の経験に学ぶことが必要でしょう。この間の運動によって培われた経験や信頼関係を、ぜひ来年の参院選での取り組みに活かしていただきたいものです」と、先のブログに書いた私の希望はかなえられる可能性が出てきました。ぜひ、これを実現していただきたいものです。

 今日の東京新聞は、来年の参院選について「野党協力なら8区で逆転」と報じています。これは、昨年末の衆院選での得票を元にした1人区についての予測です。

 2人以上の複数区を含めれば、もっと自民党の議席が減る可能性があります。比例代表でも自民党は議席を減らすでしょう。

 というのは、今回改選を迎える参院選は2010年に実施されたものだからです。この時は、選挙直前の菅首相による消費税10%引き上げ発言によって民主党が大敗し、逆に自民党が大勝しました。

 次の参院選をめぐる政治情勢は、これとは全く異なるにちがいありません。それは民主党など野党に有利で、自民党に不利なものとなる可能性が大きいと言えるでしょう。