板橋功(公共政策調査会研究センター長)

 私は、二つの視点から共謀罪が必要であると考える。一つは、テロなどの国際的な組織犯罪を防ぐために有効であること、二つ目は国際的な協調の必要性である。近年、インターネットをはじめとした通信の高度化などもあり、国際的な組織犯罪は複雑化、深刻化しつつある。国際社会は一致してこのような状況に対処しなければならない。もはや国際情勢が瞬時に日本の治安にも波及するのが現状であり、我が国も決して例外ではいられない状況にある。このようなことから、早期に共謀罪などの必要な法整備を行い、国際組織犯罪防止条約(パレルモ条約)を批准する必要があると考える。

 先般、フランスのパリにおいて発生した同時多発テロ事件では、一般市民が普通に利用するカフェや劇場といったソフト・ターゲットが狙われ、130人以上の無辜の民の命が奪われた。まさに、大量無差別殺傷テロ事件であった。今回の事件を契機に、多くの日本国民が、「我が国は大丈夫なのだろうか?」と心配していることと思う。過激派組織IS(自称「イスラム国」)が日本をターゲット視している点や来年の伊勢志摩サミット、2020年東京オリンピック・パラリンピックと国際的に大きな行事が目白押しである点を考えると、いつ日本でテロが起こっても不思議では無い状況にあると考える。
伊勢志摩サミットの主会場に想定される三重県志摩市の賢島(中央)
 共謀罪はテロを実行していなくても犯罪になることから懸念や不安の声もあるが、パリのテロ事件のように多くの一般市民が殺害された無差別殺傷テロ事件が起こった後では遅すぎるわけで、テロなどの特定の犯罪を行う合意を事前に察知し、未然に防いだ上で、罪に問えるように法整備を行う必要がある。また、在留外国人数も200万人を超え、訪日外国人数も年間2,000万人に達しようとしており、不法残留者数は改善したものの未だに約6万人とされる。訪日外国人は、2020年に向けてますます増加していくことが予想される。もちろん、多くの訪日外国人は善意の人たちであるが、この中には悪意を持って我が国に入国、滞在し、組織的な犯罪を行おうとする者達もいる。かつて我が国では国際窃盗団「ピンクパンサー」の事件も発生しており、最近でも表参道の高級宝石店で外国人とみられる者達による強盗事件が発生するなど、このような国際的な組織犯罪も看過できない状況にある。