THE PAGEより転載)
 フランスで130人以上の犠牲者を出した同時テロの発生を受けて、自民党内から「共謀罪」を創設する国内法の整備を求める発言が相次いだ。過去3回国会に提出され、いずれも反対が多く廃案になった「共謀罪」。テロ撲滅とどう関係があり、反対派はなぜ反対しているのだろうか。

 自民党の谷垣禎一幹事長は、17日の役員連絡会後の記者会見で来年5月に開催される主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)にむけた国内のテロ対策の一環として、「共謀罪」の創設を含む法改正が必要だという考えを述べた。谷垣氏は会見で、高村正彦副総裁も創設が必要だと考えていると明かした。
「共謀罪」の創設を主張している自民党の谷垣禎一幹事長

15年前の国連条約が発端

 
 「共謀罪」とは、「重大な組織犯罪」について、その犯罪について話し合って合意したことをもって処罰対象となる罪のことだ。

 事の発端は、2000年に国連総会で採択された「国際組織犯罪防止条約」にさかのぼる。深刻化するマフィアやテロなどの国際的な組織犯罪を防止し、適切に対処するために作られた。日本もこの条約に署名したが、この条約を批准するための国内法を制定していない。外務省によれば、条約は日本を残して2003年に発効し、2015年7月時点で、日本を除く全てのG8を含む185の国と地域で締結されている。

 なぜ日本はこの条約に加盟していないのか。国際組織犯罪防止条約第5条は、「共謀罪」を犯罪とするよう国内法を整備するように定めている。政府の説明によれば、日本は国内で「共謀罪」の法整備が済んでいないので、15年もの間この条約に加盟できないでいる。この条約に加盟していないことで、この条約を補足する「人身取引議定書」「密入国議定書」「銃器議定書」にも日本は加盟していない。

 賛成派は、テロ組織の資金源を断つなどのテロ対策を進めるためにこの条約の批准が必要で、そのためには国内法で「共謀罪」を新設する必要があると主張している。

 法務省は、「共謀罪」が成立するためには次の3つの要件が定められていて、国民の生活上の行為が犯罪になることはないとしている。

 1つ目は、その犯罪が「死刑、無期又は長期4年以上の懲役又は禁固に当たる重大な犯罪」であること。2つ目は、その共謀が「団体の活動として」組織で犯罪を行われるものであること、または「団体の不正権益」の目的の場合に限ること、3つ目は「特定の犯罪が実行される危険性のある合意が成立した場合のみ処罰する」ということだ。

 法務省は「共謀罪」には厳格な要件が付され、暴力団による組織的な殺傷事件や振り込め詐欺などの組織的詐欺、暴力団の縄張り争いなどに限定されるとして「国民の一般的な社会生活上の行為が本罪に当たることはあり得ません」としている。個人的に同僚や友人と犯罪の実行を合意したり、居酒屋で意気投合しただけでは「共謀罪」は成立しないと説明する。