渡辺哲也



 来年1月からマイナンバー制度が開始される。このマイナンバー制度であるが、日本の制度であると同時に国際社会からの要請に基づくものであり、マネーロンダリング防止や租税回避の防止、テロとの戦いへの対処のためのものでもある。

 国際組織として、FATF(マネーロンダリングに関する金融活動作業部会)というものがある。これは1989年(平成元年)にフランスのパリで開催されたアルシュ・サミットでの共同宣言を受けて設けられた組織であり、当初は麻薬犯罪や不正な資金移動を規制するために作られた組織である。しかし、911テロ事件以降、その業務範囲を拡大し、テロ対策や国際的な脱税や租税回避にまで対応するようになっている。日本もこれに加盟しており、FATFが求める基準を満たす必要があるのだ。
マイナンバー通知始動。あなたはどれだけ分かってる?
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 そして、FATFはマネーロンダリング対策としての『40の勧告』とテロ犯罪対策のための『9つの特別勧告』を決定し、加盟国に法や制度の整備と確実な実施を求めてきた。そして、対処できていない。又は不適当な運用が行われている国を公開し、そのような国との取引をしないようにもとめているわけである。『ISIL』を見てもわかるように現在テロリストは世界各地に分散しており、一国だけでは規制ができない状態にある。これを国際連携で封じ込めようとしているのがこの組織である。
 
 日本もこれに対処するため、金融取引における本人確認の厳格化や昨年11月に成立したテロ三法を代表とする処罰するための法整備を行ってきた。しかし、日本の行政システムには大きな欠陥があり、それが大きな社会的負担と問題になっていた。それは戸籍制度と住民票という二重管理の問題と住民の管理が市町村単位で行われていることによる問題であった。
 
 管理が市町村単位で行われていることで、国として住民をきちんと管理できておらず、縦割り行政の弊害とともに、不正や社会保障の受給の障害になっていたわけである。この代表とされるのが『宙に浮いた年金問題』であり、名前と住所での管理であったため、引っ越しや転職などで移動した住民を補足できていなかったわけである。問題となっている複数市町村を利用した生活保護など社会保障の多重受給や補助金の不正もこれが原因なのである。また、この制度の穴を利用した脱税や不正蓄財も行われていることがわかっている。『同姓同名が多数存在する名前』と『容易に変更できる住所』だけでは完全に本人を特定できず、これを利用した犯罪が行われてきたわけである。