児玉克哉(社会貢献推進機構理事長)

 メディアは気を緩めるとあっという間に政府御用達のメディアになってしまいます。常に政府に歯向かうというのも問題ですが、ある一定のところはチェック機能を持たなければなりません。やや反政府くらいがバランスが保てるというものでしょう。

 国連の自由権規約委員会は韓国に関する審査の報告を公表し、「政府を批判した人が名誉毀損に問われ、重い懲役刑を科される例が増えているとして『懸念』を表明し、名誉毀損への懲役刑の適用の廃止を韓国した」ことが読売新聞で報道されています。国連の委員会が勧告をしているといことは重く受け止めるべきでしょう。韓国メディアは今は自主規制が強くなっているといいます。これではメディアのチェック機能が果たせません。 産経新聞前ソウル支局長の加藤達也氏が朴槿恵大統領に対する名誉毀損の罪で、懲役1年6ヶ月を求刑されているケースも挙げられているようです。加藤氏は、昨年のセウォル号沈没事故当時の朴大統領の行方に対する疑惑を報道しました。このレベルで、罪に問われるとしたらメディアは政府関係のことを書けなくなってしまいます。韓国は民主主義の国としてグループ化されますが、かなり厳しくなっていると言えます。
産経新聞の加藤達也前ソウル支局長の判決に関するワイドショーを流す街頭のテレビ=17日、東京・有楽町(長尾みなみ撮影)
産経新聞の加藤達也前ソウル支局長の判決に関するワイドショーを流す街頭のテレビ=17日、東京・有楽町(長尾みなみ撮影)
 ただ、韓国はインターネットの先進国でもあります。一般メディアが規制されても、インターネットの世界ではまだかなりの自由があります。時代はインターネットメディアに移りつつあります。新聞の購読数が減り、影響力が落ちています。インターネットメディアやSNSの影響力が年々強まっているのです。もしインターネットにまで政府の規制が強まるとなると、これは全体主義国になってしまいます。こうならないことを祈りますし、そうさせてはなりません。これは韓国の問題だけにとどまらないのです。

 こう書くと、ほぼ必ずと言っていいほど日本はどうなんだ、という声があがります。私は韓国ほどではないとは思っていますが、日本も問題が現れつつあると思っています。韓国の問題だけでなく、日本でもありえる問題です。実際に日本でも政府がメディアに対するチェックを強めています。韓国だけの問題ではなく、いわゆる自由主義国の市民社会の問題として捉えるべきでしょう。

 メディアの論調にも問題はあるのでしょう。実際に私も問題だと感じる時もあります。しかし、全体としてはやや政府に厳しい論調の方が健全といえます。批判的なメディアを名誉毀損で訴えるというのは大きな問題です。メディアが萎縮すると、社会も萎縮します。開かれた市民社会がなくなってしまいます。

 とは言っても、メディアも強権的になることもあります。メディアが権力を持っていると誤解することもあります。メディアが政府からの力でなく、自ら戒め、健全な言論社会を築くことが必要です。インターネットメディアとのバランスもこれから求められるでしょう。社会全体で考えていく必要があります。政府はとりあえず黙っておいてほしいです。