八幡和郎(徳島文理大教授、評論家)

世界のリベラルの常識からはずれて極左化する民主党


 菅直人元首相や政治学者の山口二郎氏などが「民主党はリベラルに純化すべき」だといったようなことをいっている。

 私も自民党の保守路線に対して民主党がリベラルを旗印に対抗軸を確立し、政権の受け皿として代替選択肢であって欲しい。民主党が党名を野党再編のなかで改称するなら「リベラル党」がいいのでないかとも思う。

 しかし、世界の政治用語の常識に従えば、「リベラル純化」とはこの両氏のような極左分子を排除することを意味すべきだ。 山口氏がリベラルだったことなどなかったし、菅氏は首相在任時まではリベラル左派といえなくもなかったが、離任後は極左的だ。

  東西冷戦終結後における世界の政治では、伝統的な価値観と市場経済への信頼を基調とする保守政党が一方にあり、市場化の流れは容認しつつも、その行き過ぎへの歯止めとか、人権、環境などにおける新しい思想を擁護するリベラルないし穏健左派の政党があって、それが交代で政権を担うのが普通だ。

 イギリスでは保守党と労働党、フランスでは共和党と社会党、ドイツではキリスト教民主党と社会民主党。アメリカでは共和党と民主党だ。

 アメリカでは二大政党しかないようなものだが、ヨーロッパでは環境派、地域政党、宗教政党、それに過激な左翼や右翼が中小政党として二大政党で吸い上げきれない声を国会で反映させるために存在し、政権参加することもある。

 二大政党それぞれのカラーについては、アメリカでは反社会主義が国是みたいなもので、民主党の左派といってもヨーロッパの中道派以上に右寄りであるなど、それぞれの国で違いがあるが、国際的信用を失ったり政策の激変の繰り返しで経済が疲弊しない程度の差で中道右派と中道左派で二大政党になっている。
民主・維新の統一会派運営協議会設置総会に臨む岡田克也代表(右)と松野頼久代表=2015年12月15日、国会内(斎藤良雄撮影)
 その意味で、岡田克也民主党代表が、翁長雄志沖縄県知事の陳情に対して「辺野古移転以外に選択肢はない」ことを明言したことなどは良かったと思う。辺野古移転は鳩山政権の末期に政策修正してから揺るぎない民主党の方針のはずで、その方針維持がニュースになって意外と受け取られるのは困ったことだが、遅ればせながら態度を明確にしたことは結構なことだ。

 リベラルを標榜する限りは、少なくともアメリカや西ヨーロッパの信頼を日本国家が失うような政策提案はやめてほしいし、それは、民主党が政権復帰に値する選択肢であり続けるための最低条件なのである。