影山貴彦(同志社女子大学情報メディア学科教授)

 私はSMAPのファンではありませんが、彼らをアイドルとして捉えた時、長嶋茂雄や高倉健と肩を並べるスーパースターだと思います。しかし、その認識が一体どれぐらいの人にあるのでしょうか。今のジャニーズ事務所には嵐をはじめ、たくさんのグループがありますが、スターの上に「スーパー」が付くのは、SMAPだけだと思います。

慌ただしい雰囲気のジャニーズ事務所=1月13日午後、港区赤坂
 そこまでの存在になったのはやはり「SMAP×SMAP」の力が大きいと思います。スマスマで彼らは歌って踊って演技ができて、さらに笑いを取った。かつて関西の放送局で番組の作り手として過ごし、今は大学でエンターテインメントを教える私から見ても、SMAPの笑いに関するクオリティの高さは目を見張るものがあります。アイドルという概念を一気に変え、下手な芸人より質の高い笑いを提供してしまったわけです。最近は忙しくなったせいか、スマスマでは凝ったコントをあまりやらなくなったように思いますが、かつて芸人が口をそろえて「俺たちの仕事はSMAPが奪ったんだ」と愚痴をこぼすぐらいの影響がありました。こうなるとSMAPの頭文字「S」が「Sports」じゃなく、「Smile」じゃないかと思えてきますよね。

 SMAPは演者としてのメンバーの素晴らしさに、マネジメントの良さが加わって、ジャニーズの中では留まらない、事務所を超えた存在になりました。だからこそ、今回のようなファンの望まないマネージメント側の内輪揉めと受け取られるような形で、スポーツ紙2紙が報じたことは絶対やってはいけなかった。スクープか事務所側のリークかはどうでもいいことです。ファンが怒りと悲しみをもって今回の騒動を受け止めたことを重く見なければなりません。スーパースターは傷つけてはいけない存在なんです。野球でいえば、長嶋や王貞治は契約更改の時にあらかじめ下交渉をしておいて、表向きの交渉でいつも一発サインしていたと言われますが、SMAPも同様なんです。だからどす黒いものが渦巻くのが当たり前の芸能界、隠せということではなく、ファンに向けて表にしてはいけなかった。

 私はSMAPを解散させてはいけないと思いますし、解散を阻止できると思っています。いかなることをしてでもSMAPを守らなければならない。今回の報道を受けて、ジャニーズ側による独立メンバーへの悪影響が既に噂されていますが、絶対やってはいけません。たとえ年に数回しか集まらない存在になったとしても、SMAPの看板は彼らがおじいさんになるまで残さなければならない。SMAPは日本の芸能界の宝なんです。だから報じる側のメディアもなんでもかんでもこき下ろせばいいわけではなく、至宝として認識しておかなければいけない。SMAPにまだまだ輝きを持ってもらうようにしておいたほうが、報じる側も日本の芸能界全体にとってもそのほうがプラスになると思います。もちろん決して事実にフタをしろと言っているわけではありませんし、伝えなければいけないところは当然報道しなければいけません。もろ手を挙げて礼賛するのが望ましいことではないですけど、例えば山口百恵は好き嫌いを超越した存在になったわけですが、芸能界にはそのような傷つけてはいけないような存在が何人か必要なんです。もし事務所の人間たちが今回の騒動の火種について心当たりがあるんだったら、騒動の大きさを自覚してSMAPという宝を大事にしなければいけません。大事にしないと、今後のジャニーズ事務所の屋台骨を大きく揺るがすことになりかねません。