成馬零一(ドラマ評論家)

 SMAPの解散は、本人たちにとったら解放なんじゃないのかって思うんです。ここ何年かSMAPをみていて苦しいなと思うことがあった。「27時間テレビ」に司会として出演していた時もそう。こんな役割を引き受けさせられてかわいそうだなと。SMAPも彼ら以降のジャニーズアイドルも基本的に解散せず、30歳を過ぎてもアイドルを続けてきた。その一番の理由は、人気が落ちないからでしょうが。
 
 90年代以降の男性アイドルシーンはSMAPがつくってきました。80年代末までは「ザ・ベストテン」「歌のトップテン」「夜のヒットスタジオ」といった歌番組に出ることがスターの条件。ジャニーズのアイドル、光GENJIや少年隊、男闘呼組も歌番組を通じてスターになっていきましたが、90年までに相次いで終了してしまう。アイドルは主戦場を失ってしまったんです。91年にデビューしたSMAPは場所を用意されていなかったから自分たちで新たな活躍のステージを切り拓くしかなかった。

 いまでこそアイドルは歌だけでなく、俳優も司会も歌もやるが、それはSMAPがつくりあげたスタイルであって、SMAP以前と以降では明確な違いがある。

 SMAP以前は、演技ができる男性アイドルはすごく限られていた。アイドルに演技力を求めるのは論外という扱いで、低く見られていました。しかし、稲垣吾郎がNHKの連続テレビ小説「青春家族」(89年放送)に続いてフジテレビの月9ドラマ「二十歳の約束」(92年放送)に出演したり、木村拓哉がフジテレビの「その時、ハートは盗まれた」(92年放送)、「あすなろ白書」(93年放送)に出演するなど、俳優としてのキャリアを積んでいった。

 木村拓哉にとっては「ロングバケーション」(96年放送)の出演が決定的だった。つくり込まない、自然体の演技というのが90年代のドラマに入ってくるんですけど、木村はそんな演技を持ち込んだ一人。アイドルだけど、自然な演技ができるということで突出していった。90年代後半からの木村の圧倒的な人気につられる形で、しだいに全員が主役をはれるような存在になりました。SMAPの不動の人気は、誰か一人が突出しているのではなく、5人全員売れたから。草彅剛はグループ内では平凡的な位置づけですが、ドラマの俳優としてはむしろそっちの方がよかったりする。平凡な人間を演じられる方が需要があるんです。年を取ればとるほどその傾向は強くなる。