高橋秀樹(放送作家/日本放送作家協会・常務理事)

メディアゴンより転載)

 やっぱり、SMAPは希有なエンターティナーである。

 そう思ったのは、9月26日に放送された「SMAPプレゼンツNHKのど自慢スペシャルin山田町」を見たからである。SMAPが3・11で被災した岩手県の山田町を訪れ、のど自慢の予選会に審査員として参加し、被災地の現状を取材し、体験し、のど自慢の本番に臨む。
 被災地からの放送という企画意図はSMAPのキャスティングにおいて、大きな説得材料となるだろう。だが筆者はそれは外面的な見え方だけで、マネージメント側にはあまり響かなかったのではないかと考えたい。

 なぜなら、この番組の最も優れた点は「SMAPがのど自慢に出る」事だったからである。たとえて言うなら「ダウンタウンが笑点の演芸コーナーに出る」事であるが、「SMAPがのど自慢に出る」は、それより10倍はインパクトのある現象である。

 マネージメント側がタレントにメリットがあるから出演に積極的で、演出側が出演者に意図と立場を説明でき、タレント本人が(SMAPが)出演意図を完全に理解しているとしたら、番組作りにとってこれほど幸福なことはないわけであり、つまらない番組になってしまう可能性はきわめて低い構造になったと言える。

 演出側の意図が、きちんと現れていたのは本番で司会にSMAP5人の中から、香取慎吾を選んでいることからからも分かる。

 通常、司会役は中居正広の役割だが、中居は都会風の「キツいギリギリ」の突っ込みが身上だけに、のど自慢の司会には何も考えていないように見せるのが上手い香取慎吾のほうが適している。

 最後にSMAPの5人がそれぞれ感想を述べているが、それぞれキャラクターを表していて面白い。

中居正広(43)

「一体となれて、楽しかった。僕はずっと言い続けてきたけど、歌は音程じゃないことを改めて感じた」


木村拓哉(42)

「つらいことや、どかさなければならないものをどかしてきた手と握手させて頂いた」


草彅剛(41)

「歌と一体になって楽しむ、エンタメの真骨頂はこういうことだと思った」


香取慎吾(38)

「歌うことでみんな元気になり、ひとつになれることを改めて感じた」


中でも、今回も特に活躍もせず、最も冷静であった稲垣吾郎のコメントが、芸能界的には最も面白い。

稲垣吾郎(41)

「僕らも出場者と同じ気持ちになれた。最後の出場者という感じで歌えました。5大都市以外にもいろんな所に行くことが僕らには大事」


 手伝ってもらって作った料理を出して喜んでいる場合ではないのである。SMAPは今後もスターであり続けねばならない。彼らの職業はスターなのである。