荻原博子(経済ジャーナリスト)

電気も賢く選ぶ時代に


 4月の電力自由化を前に、多くの会社に様々な動きが出てきています。

 主に注目されるのは、ガス会社の動き、ソフトバンクなど通信会社の動きに加えて、電力自由化に本業のサービスを絡めて多様なサービスを打ち出している会社の動きの3パターン。

 この中で最も積極的なのは、ガス会社。なぜなら、来年4月には電力の小売りの自由化同様、ガスも小売りが自由化されるからです。

 ガス会社は、最も大きな東京ガスといえども東京電力に比べると資本力は弱い。ですから、電力の自由化がスタートする今年のうちに打って出て電力会社の牙城を切り崩しておかないと、来年にはガスの自由化で逆に攻め込まれ、シェアをとられてしまう可能性があるからです。ですから、ガスの小売りが自由化されるまでの1年に電力の市場に攻勢をかけ、顧客の囲い込みをする戦略を全社員に徹底し、一般家庭への電話攻勢なども激しくなっています。
電力業界は電気・ガスのセット割引がガス業界よりも1年遅れる
 たとえば、首都圏で東京電力と激烈な競争に打って出た東京ガスは「ずっともプラン」でガスと電気と各種サービスをセットにして、料金が1割前後安くなるメニューを出しています。これも今後の東京電力の出方次第では、料金のさらなる値下げがあるかもしれません。

セットでおトクなサービスで続々参入


 ガス会社vs電力会社の戦いと平行して注目されているのが、通信vs電力の戦い。ソフトバンクは、すでに2000年にスタートした大口顧客向けの電力の自由化に新電力として新規参入して太陽光発電などにも積極的で、電力会社としての実績を積み重ねています。このソフトバンクが、4月1日より「ソフトバンクでんき」の提供を開始します。サービスの目玉は「おうち割」。電気とスマホ、ネットをソフトバンクでんきにすると、スマホ代が最大月2300円割引されるというもの。さらに、「おうちレスキュー」という水まわりのトラブルや鍵の紛失、ガラスなどのヒビ割れに対してすぐに駆けつけて無料で対処してくれるサービスも、2年間利用できるようにします。

 加えて、ガス、通信以外の事業者の参入も相次いでいます。

 東急電鉄では、ケーブルテレビとのセット割や電気代をTOKYU CARD払いにすると最大1%のカードポイントがたまり、東急百貨店や系列のスーパーなどで使えるサービスをスタート。将来的には、東急電鉄の定期券などもおトクに買えるなど、東急沿線の生活者の囲い込みに乗り出します。

 旅行大手のHISは、旅行と電気のセット商品を販売。ENEOSでは、ENEOSでんきの支払いをENEOSカードですると、ガソリン、軽油、灯油代が1リットルあたり1円引きになるなどサービスを開始。ローソンも三菱商事と一緒に立ち上げた「まちエネ」で、同社のPontaカードと連携させて得点を付加していく方針。JALも、「enesys」ブランドでサービスを提供する洸陽電機と提携し、利用者を対象にマイレージが貯まるサービスをスタート。そのほか、ビックカメラ、リクルートグループなど、異業種からの参入は枚挙にいとまがありません。