吉田潮(ライター・イラストレーター)

 不倫のドツボにハマる女性は、大概が真面目な優等生タイプだ。遊び人はゲーム感覚で淡々と飄々と不倫を楽しむ。別れたら次。面倒くさくなってきたら次。そもそもレンタル、延滞金取られる前にしれっと返却。

 ところが優等生タイプは不倫を「障壁のある純愛」と脳内変換してしまう。背徳感は使命感に、罪深さは愛の重さへと都合よく変換。しかも頑張り屋の彼女たちは障壁を乗り越えようと自らを鼓舞してしまう。そこも真面目か、と驚くほどに。

 ベッキーの不倫騒動を週刊誌で知り、まさに優等生タイプの「自己陶酔型不倫」の典型だと思った。

サンミュージックの「第3回東日本大震災チャリティー
イベント」に参加したベッキー=2012年07月26日、
東京・池袋(撮影・吉澤良太)
 厄介なことに優等生タイプは、人の話を聞かない・聞く耳持たない。ふたりだけの世界に浸り、罪悪感も甘い言葉でコーティング。なんだろう、あの万能感は。ベッキーもたぶんそんな感じだったのかなと推測する。

 実は、今回の不倫騒動について周囲の女性に聞いてみた。登場人物の誰に思いを寄せるか。ベッキーか、ゲス(ゲスの極み乙女。のボーカル・川谷絵音を略して)か、ゲス嫁(ゲスの極み乙女。のボーカル・川谷絵音の嫁を略して)か。

 驚くことに、不倫経験がある女性ほど「ゲス嫁が可哀想だ」と言う。え? そこはベッキーじゃないんだ? 同じ境遇に同調しないで、同類嫌悪の他罰方向にいくのか……。女心は複雑怪奇だと唸った。

 個人的には、不倫している女性に寛大なほうである。「好きになっちゃったんだもの、仕方ないよね」と聞き流すことにしている。叱咤も激励もせず。ただし、バレたら慰謝料を請求されるリスクだけは伝える。相手がヌケサクで馬鹿っぽいときや、相手の嫁が抜かりない手練れのときは要注意。

 ベッキーは誰にも相談しなかったのだろうか。いや相談して苦言を呈されたベッキーが聞く耳を持たなかった可能性もある。話せる友達がいなかったのか。優等生の孤独が、道ならぬ恋を一途に加速させたのかも。不倫は代償が大きいことを、ヒルズ族に教えてもらえばよかったのにね。

 速攻で開いた謝罪会見は一見100点満点とも言える殊勝さだったが、あくまで友達だと言い張った時点でアウトだった。