52年の歴史を誇るフジテレビのお昼の連続ドラマ“昼ドラ”が、来春でその歴史に幕を下ろすことになった。

 昼ドラといえば、04年に放送され、女優・大河内奈々子と小沢真珠が泥沼の愛憎劇で社会現象を巻き起こした「牡丹と薔薇」が、出演者とストーリーを一新して「新・牡丹と薔薇」として今月30日からスタートすることが発表されたばかり。最高視聴率13.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、昼ドラ史上に残る高視聴率を記録した“ボタバラ”が約11年ぶりに復活する一方で、昼ドラ自体は来年3月をもって終了することになる。

 フジテレビ系列の東海テレビの制作で1964年に放送された「雪燃え」を皮切りにスタートした昼ドラは当初、著名な作家の原作をもとにした文芸ものや人情もの、特定の人物の成長や成功への道筋を描いた一代記的な内容のものが多かった。

 だが、86年に放送された「愛の嵐」をキッカケに徐々に路線変更がなされ、登場人物同士の濃密な人間関係にも焦点を据えるようになっていき、00年代に入ると、「真珠夫人」(02年)、「牡丹と薔薇」(04年)、「冬の輪舞」(05年)など、ドロドロの愛憎劇を描いた作品が話題となり、主婦層を中心に高い支持を集める。
2004年の「牡丹と薔薇」で熱演する大河内奈々子(右)と小沢真珠
 数多くのドラマを手掛ける放送作家は語る。

 「昼ドラといえば、非現実的とも思える過剰な演出やドロドロの愛憎劇をはじめとするストーリー展開が印象的ですが、そのあたりの“刺激の強さ”は、いわゆる家庭に入った主婦のハートを刺激する狙いがありました。同じく主婦層をターゲットにしているレディースコミックなんかも、同じようなテイストの作品が多いですからね」

 だが、一時代を築いた昼ドラも時代の流れには勝てなかったようだ。


“昼ドラ”を取り巻く時代の変化


 「昼ドラ終焉の要因の一つとしては、まず一昔前に比べると専業主婦自体が減ったことが挙げられるでしょう。最近は夫婦共働きというスタイルも多いですしね。あと、娯楽の多様化によるテレビ離れも深刻です。この点に関しては、昼ドラだけでなく、テレビ業界全体が抱える問題ではありますが、テレビを見るよりもスマホをいじってネットを楽しんだり、ゲームをやったりしている人は確実に増えていますからね。最近は、スマホを媒介にした女性向けの恋愛趣味レーションゲームなんかもハヤッていますが、あれなんかはまさに昼ドラの好敵手と言ってもいいでしょう」(同放送作家)

 こうした背景もあり、昨今のテレビ業界では視聴者離れを食い止めるため、番組内容にも変化が見られると語るのは、テレビ誌の編集者だ。

 「以前に比べると、視聴者が得した気分になれる情報やエッセンスを取り入れる番組が増えている印象です。情報番組はもちろんのこと、トーク番組やバラエティー番組なんかでも、グルメや健康、美容、ダイエット、生活の知恵や小遣い稼ぎのサイドビジネスなどを紹介したり、クイズ番組でも、クイズのお題の中にそういった要素を取り入れてみたり。逆に、完全に娯楽に特化したフィクションのドラマは、視聴率的にも難しい立場に追いやられているのが実状です。『家政婦のミタ』や『半沢直樹』、最近では『下町ロケット』のような高視聴率を記録する“お化け番組”もごくまれに出現しますが、ドラマの視聴率自体は軒並み苦戦していますからね。昼帯は元々情報番組が多い時間帯でしたし、“昼ドラ”の視聴者離れはシビアな話、作り物のドラマを見て過ごすよりは、情報番組でも見て、少しでも自分にとってプラスになる情報を得ようという視聴者心理が働いているのかもしれません」

視聴者のドラマ離れも終焉の要因!?


 フジは、昼ドラとともにタレント・小堺一機が司会を務めるお昼の長寿番組「ライオンのごきげんよう」も来春で終了し、平日昼帯の大改革で視聴率回復を目指す方針のようだが…。

 「最近のフジさんといえば、昨年4月に『バイキング』を、今年3月に『直撃LIVEグッディ!』と『みんなのニュース』をスタートさせました。情報番組に力を入れている印象で、そのスタンス自体は時代の流れに沿っているとは思いますが、視聴率的には苦戦し、結果が伴っていませんからね。元々、情報番組や報道番組よりもバラエティー番組やドラマといった娯楽に特化した番組を得意とし、黄金時代を築いたフジさんだけに、情報番組となるとなかなか難しい部分もあると思います。今回、昼ドラと『ごきげんよう』という2本の長寿番組を終了し、大改革に打って出るわけですが、『笑っていいとも!』終了の二の舞いにならなければいいのですが…」(同テレビ誌編集者)

 フジにとって、黄金時代を支えた昼ドラの終焉は吉と出るか、凶と出るか!?