ついにと驚くでも、やはりと膝を打つ話でもない。いまさらと呆れるばかりの顛末である。9月11日、これまで本誌・週刊ポストが指摘してきたとおり、朝日新聞が「吉田調書」記事の誤報を認めた。

 とはいえ、いみじくも会見で木村伊量社長自らが語ったように、「遅きに失した」のは誰の目にも明らかだった。2時間に及ぶ謝罪会見は誤魔化しや往生際の悪さ、「記者の思い込みだった」と責任転嫁する姑息な言い逃れに終始し、世論調査の「評価する」はわずか6.4%。とても謝罪といえる代物ではなかった。

 それでも経営トップが姿を見せただけでもよしとすべきか。なにしろ、わが身への批判には恫喝まがいの抗議で迫る一方、都合が悪くなれば「黙して語らず」が“天下の朝日”の伝統だからである。

 ところが、この伝統も色褪せてきたようだ。テコでも頭を下げなかった朝日が、近年は「お詫び」の会見のオンパレードである。以下、その代表的なものを、時系列で振り返ってみよう。

【珊瑚落書き捏造(1989年5月)】
 珊瑚の落書き写真とともに日本人のモラルを問う記事を掲載したが、カメラマンによる自作自演の捏造記事だった。

【取材メモ捏造(2005年9月)】
 田中康夫・長野県知事と亀井静香氏の会談について記者の架空取材メモをもとに記事を作成。この問題で、箱島信一前社長が日本新聞協会の会長を辞任。

【NHK番組改変報道(2005年9月)】
 安倍晋三・内閣官房副長官らが圧力をかけて、慰安婦問題などの模擬法廷を特集した番組内容を変更させたと報じた。ちなみに、後に取材が不十分だったと会見で認めたが、訂正や謝罪はなし。

【読売新聞記事盗用(2007年2月)】
 カメラマンによる読売新聞の記事盗用が発覚。この5日後、他紙からのさらなる盗用が発覚し再度謝罪会見を行なった。

【共同通信記事盗用(2010年10月)】
 マニ教の宇宙図が国内で発見されたという記事の大半が、共同通信の記事と酷似していたと謝罪。執筆した記者に盗用の認識はなかったと説明。

【「吉田調書」記事取り消し(2014年9月)】
 週刊ポスト記事「朝日新聞『吉田調書』スクープは従軍慰安婦虚報と同じだ」に対し、朝日は訂正と謝罪を求め法的措置もちらつかせたが、結局記事は虚報だった。

週刊ポスト2014年10月3日号