小名木善行(「日本の心をつたえる会」代表)

 北方領土は、日本の領土です。
 歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島のことを言っているのではありません。
 樺太の南半分と、千島列島はカムチャッカ半島の手前にある占守島までの千島列島の全部が、日本の領土です。
 ということは南樺太から千島列島にかけてのオホーツク海と、千島列島から南東に張り出した太平洋の広大な海域が、日本の領海です。

 そういうと「ああ、戦前の話か」と思う方もおいでになるかもしれません。

 いいえ違います。
 すくなくとも「ほんの6年前まで」、樺太の南半分と千島列島全部は、日本の課税台帳に記述があったのです。
 課税台帳に記述があったということは、日本政府が「ほんの数年前まで」そこを「領土」として認識していた、ということです。
 ところが数年前、そこが領土から「消えて」しまいました。

 すこし詳しく述べます。



 平成22(2010)年3月31日まで、日本は札幌国税局根室税務署の課税台帳には、樺太の南半分と千島列島全部について、日本の領土としての記述がありました。
つまり日本は、そこを日本の領土として認識していたということです。
(ロシアは一方的に占領支配していただけです。)

 ところが、2009年夏、民主党が政権与党となり、鳩山由紀夫内閣が誕生しました。
 鳩山内閣は国民に何も知らせないまま、「北海道総合振興局及び振興局の設置に関する条例」「財務省組織規則の一部を改正する省令」を改正し、南千島から先の中部千島、北千島の島々を帳簿から削除してしまったのです。

 ですから平成22(2010)年4月1日からは、この広大なエリアは、日本国民が知らない間に、ロシアが占領し軍事的に実効支配する無主地となってしまいました。
ひどい話です。

 領土に関する話です。
 本来なら国会審議が必要なことでしょう。
 けれど当時の民主党鳩山総理は、国会審議を要しない「省令」レベルで、北方領土を勝手に日本の領土から外してしまったのです。

 こんなことが許されるのなら、たとえば竹島にしても韓国が実効支配し、日本が課税台帳から削除すれば、国民が誰もしらないまま、竹島とその周辺海域は日本の領土から消えてなくなります。

 そこで今日は、領土についてすこし詳しく見て行きたいと思います。このことを考えると、実はいろいろなことがはっきりと見えてきます。
千島列島の夏
千島列島の夏
 まず千島列島は、北海道の東側にある知床半島、根室半島の先から、ユーラシア大陸のカムチャッカ半島まで伸びている列島です。
 一番北側の島々が北千島、まんなかあたりが中部千島、北海道寄りの歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島が、南千島です。

 「北方領土」というと、多くの方がイメージしているのは、このうちの南千島(歯舞群島、色丹、国後、択捉)です。
 けれど本当は、千島列島の「全部」が日本の領土です。

 それだけではありません。樺太も南半分は日本の領土です。
 そして、そこに日本の領土があるということは、その周辺の広大な海域が日本の領海である、ということです。

 近年、その領海の海底には、豊富な海底資源(メタンハイドレード、レアアース)が眠っていることが明らかになりました。
 従ってその広大な海域は、豊富な漁場としての値打ちを持つだけでなく、これからの日本や世界の資源エネルギーを語る上でもとても大切なエリアとなっています。